
A) 実際「熱がでたら抗生物質」と思っているかたが多いのですが、「抗生物質」はあくまで「細菌」に対してのもので、同じ咳・痰・発熱の症状でも「細菌性肺炎」であれば効果がありますが「ウイルス」による「かぜ」には効果はないのです。ただし「かぜ」の場合は薬をつかわなくとも時間さえ経過すればおさまることがほとんどです。
今回の誤解の原因は「細菌」が原因の「肺炎」は「ウイルス」による「かぜ」に引き続いておこる事が多いため、「肺炎になるといけない」という発想で抗生物質が気軽に処方されてきた事だと思います。これは医療者側の問題であり、不必要な「抗生物質」の濫用の結果、薬のきかない「耐性菌」が増えている事が現在問題視されています。
咳が一週間程度でしたら「かぜ」によるものと考えてもよさそうです。もし「咳止め」のお薬をのんでもなかなか治らないのであれば「かぜ」以外の病気の可能性もありますので呼吸器専門医の受診をお勧め致します。
(2011年6月15日中日新聞なごや東版朝刊「教えて!ドクター Q&A」掲載)