
名古屋で開催されました「抗菌化学療法」の研究会に参加してまいりました。
「抗菌化学療法」とは気管支炎・肺炎などの細菌感染症に対しておこなう、抗生物質などの抗菌剤による治療法をさします。今回の研究会では抗菌剤の中でも「マクロライド系」の抗菌剤による「呼吸器感染症」の領域における講演を拝聴いたしました。
これまでも風邪と診断した患者様から「抗生物質は処方してもらえますか?」とご質問いただくことが何度かありました。その都度「風邪はウイルス感染症ですから、細菌感染症に対しての治療薬である抗生物質は必要ありませんよ。」と説明していますが、これは日本において抗生物質がいかに濫用されてきたかということを示す事実です。一般の方が「風邪など発熱の症状がある病気は抗生物質が必要」というように誤解されているのは、これまで抗生物質・抗菌剤を必要以上に投与してきた我々医療者側に責任があることは間違いありません。抗菌剤の濫用はこのような誤解のみではなく、薬の効きにくいあるいは効かない「薬剤耐性菌」の増加にもつながっていると考えられています。医療者は感染症が何によるものなのか、ウイルスなのか細菌なのか、ウイルスであればどんなウイルスなのか、細菌であればどんな細菌なのか、可能な限り病原微生物が何かを判断した上で投与する薬剤を選択しなければなりません。医療者一人一人が抗菌剤を適正に使用していくことが重要なのです。
10月中旬以降寒くなってきたこともあり、けやき内科も「発熱」「咳・痰」といった急性症状で来院される方が非常に増えています。これからも適正な医療サービスが地域に提供できるよう積極的にとりくんでいきたいと思います。