2014年11月13日

Q「市から肺炎球菌ワクチンの案内がきました・・・」

教えて!ドクター2.jpgQ) 市から肺炎球菌ワクチンの案内がきました。肺炎球菌とはどういった病気でしょうか。ワクチンは打つべきですか。

A) 肺炎球菌は名前の通り肺炎の原因となる細菌の一つですが、肺炎以外にも髄膜炎や菌血症などの重篤な感染症(侵襲性肺炎球菌感染症)をひきおこす事でも知られています。肺炎球菌ワクチンは主に成人を対象とした「23価肺炎球菌多糖体ワクチン」と、乳幼児を対象とした「13価肺炎球菌結合型ワクチン」があります。現在肺炎球菌には93種類の血清型があり「○○価」というのは、そのうちの何種類に効果があるかという事を示します。成人用23価ワクチンにより成人の肺炎球菌感染症の80%以上が、乳幼児用13価ワクチンにより乳幼児の侵襲性肺炎球菌感染症の約70%をカバーできるとされています。平成26年11月現在23価ワクチンは65才以上の高齢者の方を対象に、13価ワクチンは2才未満の乳幼児を対象に定期接種とされており、接種費用に対して公的補助を受けることが可能です。ワクチンの性質上100%予防できるわけではなく、副作用がおきる可能性もゼロではありませんが、積極的に接種する事をおすすめいたします。


(2014年11月12日中日新聞市民北版朝刊「教えて!ドクター Q&A」掲載)

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2014年11月12日

今日は「World Pneumonia Day (世界肺炎の日)」です!

World Pneumonia Day 2014.jpg「けやき内科」のブログをごらんいただき、ありがとうございます!
今日11月12日は「World Pneumonia Day (世界肺炎の日)」です。世界的にみて「肺炎」は対策をたてるべき疾患の一つであることは間違いなく、特に途上国においては小児の「肺炎」による死亡が大きな問題となっています。World Pneumonia Day のホームページでは、2014年のテーマとして「Universal access to pneumonia prevention and care(肺炎の予防とケアへの普遍的なアクセス)」を掲げています。
日本においても「肺炎」は注目すべき疾患であり、人口動態統計によると日本人の死因は平成23年・24年・25年と3年間連続で1位「悪性新生物」2位「心疾患」3位「肺炎」となっています。特に高齢者における「肺炎」の死亡率の高さが問題となっており、いかに「肺炎」を予防するか、いかに早期診断し、いかに治癒につなげるかということが課題になっています。
「肺炎」はウイルスの上気道感染、つまり「風邪」に引き続いて起きることが多く、予防のためには「うがい」「手洗い」が重要です。特に外出から帰宅した際には必ず行う事をおすすめします!また「肺炎」を起こす菌のうち「肺炎球菌」については「予防接種」を受けることが可能です。平成26年10月1日から「成人用肺炎球菌予防接種」は定期接種となりましたが、名古屋市においては65才以上の方はお一人一回に限り自己負担4,000円で接種することができます(接種後5年間有効)。「けやき内科」でも予約制で実施しております(キャンセル不可)ので、ご希望の方は是非お問い合わせください。

これからも「けやき内科」をよろしくお願いいたします!

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2014年11月09日

「気管支喘息」の講演会に参加してまいりました。

2014秋気管支喘息講演会.jpgけやき内科のブログをごらんいただき、ありがとうございます。院長の加藤景介です。

名古屋で開催されました「気管支喘息」の講演会に参加してまいりました。今回の講演会ではこの地域で気管支喘息の診療を専門的にやってみえる大学病院の先生のご講演ののち、気管支喘息の分野では全国的に高名な東京の大学教授の先生のご講演をおききしました。
一つ目のご講演は「嗅覚と気管支喘息」というタイトルでしたが、気管支喘息に合併することが多い「副鼻腔炎」についての内容でした。私自身も日常診療で気管支喘息の患者様が副鼻腔炎になられる事が非常に多いのは実感しており、気管支喘息と副鼻腔炎の治療はどちらも並行しておこなっていかないと共に改善していかないと考えています。ご講演では「嗅覚」の評価に焦点をあてて診断・治療へのアプローチに関するデータをご呈示いただき、大変興味深いものでした。
二つ目のご講演は「喘息の最新治療」というタイトルで、重症の喘息に対して現在有効性が確立されている最新の治療データのご紹介や、慢性疾患である気管支喘息の治療のステップダウンの考え方など、国際ガイドラインの内容にもふれながらご教示いただきました。なかでも喘息治療のステップダウンについては私自身も常日頃から色々と考えている部分があり、今回のご講演を拝聴していくつかの考え方が整理されました。
気管支喘息は基本的に慢性疾患であり、特に成人の場合は現在の医学では完治できないとされていることから治療期間が年単位と長期におよぶことが通常です。かといっていつまでも同じ薬を使い続けるのがよいわけではなく「治療薬剤は必要最低限」というスタンスは守るべきであり、病状が安定しているのであれば治療薬の種類・用量を「より少なく」していく事が望ましいと考えられます。「ステップダウン」というのは、この治療薬の種類や用量をへらしていく事をさします。一方で気管支喘息が慢性疾患である以上、薬剤の減量・中止によって病状の悪化がみられる可能性があることも事実であり、医師の立場としては「病状の悪化がおきないよう、治療薬剤を必要最低限」とできるように治療計画をたてていかねばなりません。気管支喘息の場合、「症状がよくなったから大丈夫」という誤解のもと治療の中断が行われてしまう現実があり、不十分な治療が喘息のさらなる病状悪化をまねくとされている事から非常に問題となっています。そういった中で「症状」という主観ではなく、「ピークフローメーター」をもちいた病状把握や、「肺機能検査」「呼気中一酸化窒素(FeNO)測定」「気道過敏性試験」といった客観的指標をもとにした治療管理が重要とされています。
今回の講演会に参加して、けやき内科に通院されているたくさんの喘息患者様によりよい治療を提供できるよう、これからも積極的にとりくんでいきたいとあらためて思いました。

これからもけやき内科をよろしくお願いいたします。


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2014年11月06日

「COPD(慢性閉塞性肺疾患)フォーラム」に参加してまいりました。

2014秋COPDフォーラム.jpgけやき内科のブログをごらんいただき、ありがとうございます。院長の加藤景介です。

名古屋で開催されました「COPD(慢性閉塞性肺疾患)フォーラム」に参加してまいりました。今回はこの地域で「COPD」の診療に積極的にとりくんでいる呼吸器専門医の先生の講演ののち、参加者も質疑応答に加わりながらパネルディスカッションがおこなわれました。
「COPD」は主に喫煙によっておきる呼吸器疾患で、長く続く「咳」「痰」や、階段や坂道での「息切れ」といった症状を特徴とする慢性疾患です。ゆっくり進行するため自分では意識していないうちに病状が進行してしまう場合もあり、病院で診断された時には既にかなり悪い病状となっていることもあります。また現在厚生労働省がかかげている「21世紀における国民健康づくり運動:健康日本21」においても主要取組疾患の一つとなっており、認知度の向上と早期診断・早期治療がすすめられています。今回の「COPDフォーラム」ではこの地域で疾患の認知度をいかに高めて診断率を向上するか、専門医と非専門医でいかに連携をとって診断・治療をすすめていくべきか、さまざまな新しい吸入薬が使用できるようになってきた現状でいかに薬剤を適切に選択すべきか、などがテーマとなりました。今回のパネルディスカッションでは呼吸器専門はもちろん、非専門医でも「COPD」の診療に熱心にとりくんでみえることがよくわかりました。
けやき内科にも「COPD」の治療をうけてみえる患者様はたくさんおみえになりますが、呼吸器機能検査・マルチスライスCTによる早期診断を含め、これからも地域における医療レベルの向上のため積極的にとりくんでいこうとあらためて思いました。
これからもけやき内科をよろしくお願いいたします。

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