けやき内科のブログをごらんいただき、ありがとうございます。院長の加藤景介です。
東京で開催されました「第66回 日本アレルギー学会学術大会」に参加してまいりました。
この学会は「アレルギー」という枠組みのため、内科・小児科・耳鼻科・皮膚科などさまざまな診療科の医師が参加します。私自身は診療の都合上一日のみの参加となりましたが、非常に多くの人でにぎわい大変活気がありました。
今回は「気管支喘息」の診断と治療において今注目となっている「呼気NO測定」や「オシレーション法による呼吸抵抗測定」のセミナーや、気管支喘息の重症発作時の教育講演などに参加し、駆け足ではありましたがたくさんの最新の知識に触れる事ができ大変有意義な時間を過ごすことができました。
私が呼吸器・アレルギーを専門としていることもあり、けやき内科には大変たくさんの気管支喘息の患者様が通院しておみえです。私が「気管支喘息」の診療において最も注意している点は、診断においても治療効果の判定においても「症状のみでの判断はしてはいけない」という事です。もちろん来院される方は皆さん「咳」「息苦しさ」などの何らかの症状があっておみえになられますから、治療によって症状を改善するということは非常に重要ではあります。ただ「気管支喘息」の場合に理解すべき点は「症状と病状は必ずしも相関しない」という事と、「症状がよくなっても治っているわけではない」という事。気管支喘息は慢性疾患であり良くなったり悪くなったりを繰り返すうちに症状の自覚が乏しくなる場合があり、患者様自身はご自身の病状を過小評価している場合があります。また一般に妥当な治療がされれば80%以上の喘息患者は症状は消失すると言われていますが、症状がなくなっても治っているわけではなく、喘息の本態である「気道の炎症」やそれにともなう「気道狭窄」は残っており、それらをしっかりとコントロールしないと容易に症状が再燃してしまう状況になる可能性もあります。症状以外に目安となる客観的指標としては、古くから専門医がおこなってきた「呼吸機能検査」や「ピークフローメーターによるモニタリング」、最近注目をあびているものとしては「呼気NO測定」や「オシレーション法による呼吸抵抗測定」などがあげられます。症状にくわえてこれらの客観的指標をくみあわせて総合的に病態を理解し治療計画をたてる事が、患者様それぞれの病状に応じた適切な治療管理につながると私自身は考えています。
今回の学会参加で得られたものを早速今後の診療にいかし、よりよい医療サービスが提供できますよう、これからも積極的にとりくんでいきたいと思います。