
A) 慢性閉塞性肺疾患は喫煙を主因とする慢性呼吸器疾患で、「咳」「痰」「息切れ」といった症状が主ですが、通常は病状の進行に伴って肺の重要な働きである「呼吸による酸素と二酸化炭素の交換」ができなくなってくるため、重症となると自宅で酸素を吸入する「在宅酸素療法」が必要とはなります。ただ第一にすべき治療は「禁煙」であり、それに加えて抗コリン剤・β刺激剤などの「気管支拡張剤」による薬物治療や呼吸リハビリテーション等を行っても病状の改善が得られない場合に適応とするべきと考えられます。
喫煙を継続している状況では薬物治療の効果も十分に期待できないわけですが、質問の内容からすると「治療しながら喫煙を継続していた結果、病状が悪化した」という事かと思います。私自身は「禁煙できていない方は在宅酸素療法をするべきではない」と考えています。一つには治療の意義が問われるということもありますが、自宅で酸素ボンベなどを使用する事は「火災」のリスクになるとも考えられており、火の元の管理には細心の注意を払わねばなりません。まずは禁煙すべきであり、治療方針について主治医の先生とよく相談する事をお勧めします。
(2018年11月28日 中日新聞市民南版「教えて!ドクター Q&A」掲載)