
けやき内科のブログをご覧いただき、ありがとうございます。院長の加藤景介です。
毎日のように「新型コロナウイルス」による新型肺炎のニュースが流れていますが、とうとうWHOからも「パンデミック(世界的流行)」であると判断されました。日本国内においても感染者の数は増加し続けています。けやき内科のある名古屋市でも感染者数の増加が報道されており不安に感じておられる方も多いと思います。
また死亡につながる重症化の危険性が高いのは「高齢者」や「基礎疾患がある人」ということから、けやき内科に定期的に通院されている患者様から「自分は大丈夫だろうか」という質問を大変多くいただいています。
中でもけやき内科に通院する患者様のなかで最も多い「気管支喘息」について、日本アレルギー学会からの勧告や、これまでに報告されている論文などから私なりにまとめてみました。
1. 「気管支喘息」は「新型コロナウイルス」で死亡率の高い「重症肺炎」につながるのか?
この質問が当院に通院される患者様から最も多く受ける質問です。
「気管支喘息」の患者様は小児から高齢者まで幅広い年代に渡っていることから一概には言えませんが、私の調べた範囲では「気管支喘息」のある方は「新型コロナウイルスで肺炎が重症化とする」というより「新型コロナウイルスの感染により気管支喘息が悪化しやすい」と考えた方が良いようです。
日本アレルギー学会の勧告でも同様に述べられており、「喘息増悪に伴って呼吸不全が重症化する危険性」があるとされています。
2. 「新型コロナウイルス」による「気管支喘息の悪化」を防ぐためにはどうしたらいいのか?
現在「新型コロナウイルス」に対しての「ワクチン」もなければ「治療薬」もありません。なので感染しないようにするためには「手洗い」が最も有効です。加えて「感染リスクの高い場所に行かないようにする」のも大事ですが、社会生活を営むためには最低限の外出はしないといけませんし、元々慢性疾患のある方は病院への受診も最低限必要ですので、閉じこもりの生活をするわけにもいきません。また感染しても80%以上の方が軽症で済むとも言われているのですから、生活面においては風邪をひかないようにするのと同様に、「規則正しい生活」をして「ゆっくり休養すること」に尽きると思います。
「気管支喘息の悪化」についてはそもそも「新型コロナウイルス」に限らず、様々なウイルス感染によって引き起こされるわけですが、最も重要なのは「悪化しないよう、あらかじめしっかりと喘息治療を継続すること」だと思います。気管支喘息の方の中で「症状がでた時にのみ病院を受診する」というやり方をされている方がみえますが、「気管支喘息は症状がなくなっても気道における炎症はおさまっていない」つまり「無症状でも治療が必要である」ということも少なくなく、けやき内科に通院されている方にはいつもお話ししていることですが「症状がなくなった後は、症状が出ないように治療を継続する」ということが大事なのです。したがって「症状が出た時のみ治療」というやり方をされている場合には「新型コロナウイルス」の感染により悪化する確率は高いといえるでしょう。
また、これは喘息の有無に関わりませんが、どうやら「喫煙者は新型肺炎の死亡率が高い」ということのようです。これまでの報告では「新型コロナウイルスによる肺炎」の死亡率は、喫煙者の方が倍以上リスクが高いとされています。そもそも「喫煙」は喘息の悪化因子でもありますから、「気管支喘息と診断されているがタバコがなかなかやめられない」という方は、新型コロナウイルスに感染すると「喘息の悪化による呼吸不全をきたす確率が高く、肺炎による死亡率も高い」ということになりそうです。きちんと治療を継続されていない方は一層リスクが高いということになりますので、これを機に「禁煙」と「治療継続」をお勧めいたします。
また最近「喘息の治療薬(吸入ステロイド)が新型肺炎に有効かもしれない」という報道がされたことに伴って「受診すれば喘息の薬を出してもらえるのか」という問い合わせがきておりますが、これはあくまで研究段階での報告であり、喘息と診断もされていない、新型肺炎とも診断されていない、単に「不安だから」という理由だけで処方を希望されても絶対に処方することはありません。ご了承ください。
これからもけやき内科をよろしくお願いいたします。