2020年07月29日

Q「30年以上喫煙していた父が検査で肺気腫を指摘され・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 30年以上喫煙していた父が検査で肺気腫を指摘され、現在禁煙しています。もう60代なので、いくら禁煙しているとはいえ病気が進行したり、他の病気になったりしないか心配です。他に気をつけるべきことはありますか。

A) 「肺気腫」は長年の喫煙によって炎症とともに肺の構造が破壊される事で生じる病変で、現在病名としては「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」と呼ばれています。残念な事に禁煙しても治ることはありません。また経年的に悪化していきますので、禁煙しても徐々に病気としては進行していきます。COPDの病状把握として重要なのは、構造的変化としての肺気腫の程度のみではなく、機能的にどの程度悪化しているかどうかという点もありますので、通常は「肺機能検査」によって評価を行います。主な治療は気管支拡張剤の吸入ですが、どういった薬剤を選択するかは構造的悪化よりも機能的悪化の方が基準となります。また昨今は気管支喘息を合併した「ACO」かどうかが、病状の進行予測や治療薬の選択の上で重要と考えられていますので、その点についても判断が必要です。
 他の病気になったら心配とのことですが、健常者に比べ「肺癌」の合併率は高いと考えられており、定期的な経過観察が必要です。また肺炎やインフルエンザ、コロナウイルス罹患時の重症化因子の一つですので、予防接種を含む感染予防を心がけることも重要と言えるでしょう。


(2020年7月29日 中日新聞市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


posted by けやき内科 at 05:00| 教えて ドクターQ & A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする