
A) COPD(慢性閉塞性肺疾患)は主に喫煙が原因となって引き起こされる慢性呼吸器疾患であり、呼吸機能検査上気流閉塞を示すことを特徴とし、症状としては慢性な「咳」「痰」「息切れ」がみられますが無症状のまま経過することも少なくなく、症状が出てきたときにはかなり進行した状況である場合もあります。一方で気管支喘息は呼吸器系のアレルギー疾患の一つであり、気道の慢性炎症を本態とし、気道狭窄による喘鳴や呼吸困難、胸苦しさ・咳などの症状で特徴づけられる疾患です。COPDとの一番の違いは症状が良くなったり悪くなったりする「変動性がある」という点です。
「ACO」とはCOPDと喘息の両方の特徴を併せ持っている場合に「合併症」と判断され診断に至るわけですが、例えば「もともと喘息である方が喫煙を継続した結果COPDも発症」した場合や、「COPDである方が季節の変わり目などにアレルギー反応をきたして症状が変動性を持ってきた」場合などがまず疑われます。確定診断のためには胸部レントゲン・CT、呼吸機能検査、FeNO測定、血液検査等が必要です。通常「COPD」の治療には抗コリン剤・長時間作用性β刺激剤といった気管支拡張剤が使用されますが、「ACO」と判断された場合は喘息治療の中心となる吸入ステロイド剤も積極的に投与されます。また「ACO」は積極的な治療により「COPD」よりも良好な経過をたどるとされていますので、確定診断と適切な治療が重要と言えます。
(2022年1月25日 中日新聞なごや東版「教えて!ドクター Q&A」掲載)