
A) まず気管支喘息という診断が正しいかどうかですが、症状以外に診断根拠はありますでしょうか。確かに「喘鳴」は気管支喘息の代表的な症状の一つですが、気管支喘息以外にも「喘鳴」をきたす疾患はあります。細気管支炎、DPB(びまん性汎細気管支炎)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患や、心不全のような心臓疾患でも「喘鳴」はみられます。これらの疾患かどうかを判断するためには、胸部レントゲンやCTなどの画像診断や呼吸機能検査、気道のアレルギー反応の有無を判断するFeNO測定など、種々の検査が有用と言えます。
気管支喘息という診断が正しかったとして、改善しないと感じられる場面もいくつか考えられます。まず気管支喘息の治療薬は吸入薬が中心となりますが、通常治療開始してすぐに劇的な症状の改善はみられません。効果がでるのに数日から1週間程度は要しますので、日にちをみることも必要です。また吸入薬は「吸う」という動作を要する特性上、上手く使えていないと十分な効果は発揮されません。吸入方法が正しいかどうかを確認する必要もあります。また喘息は症状のみを基準に重症度を判断してしまうと病状が過小評価されることもよくあります。重症度の過小評価により不十分な治療薬の選択になってしまい改善しない可能性もあります。一度呼吸器専門医を受診することをお勧めいたします。
(2022年11月22日 中日新聞近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)