2023年03月22日

Q「COPDと診断されました。どのような治療を・・・」

教えてドクター2.jpgQ) COPDと診断されました。どのような治療をするのでしょうか?一生治らないのでしょうか?

A) COPD(慢性閉塞性肺疾患)はタバコの煙を主とする有害物質を吸入暴露することで生じる肺の炎症性疾患です。喫煙習慣による生活習慣病ともいえ、気道(気管支)の炎症が慢性的に惹起され、肺構造の最小単位である肺胞の破壊が起きることによる気腫性変化も生じる疾患で、症状としては慢性的な「咳」や「痰」、運動時の「息切れ」などを特徴とします。ただ喫煙者の方は症状に慣れていることもあってか病状の進行に気づかないことも多く、診断されたときにはすでにかなり病状が進んでいることも少なくありません。一番の治療はなんといっても禁煙ですが、禁煙してもすでに構造破壊が起きている部分は元に戻らないため、残念ながら一生治ることはありません。治療としては抗コリン薬やβ2刺激薬などの気管支拡張剤の吸入が挙げられますが、COPDの方のおよそ3割は喘息を合併しているとも言われており、その場合には吸入ステロイド薬の併用も推奨されています。「治らない」ということもあって、治療の目的は「病気の進行を遅らせる」「現状を維持する」ということになりますが、治療薬の進歩により以前に比べると呼吸機能についてはかなり改善が見込めるようになりました。しかしながら適切な治療を継続しても病状が進行して「呼吸不全」に陥り「在宅酸素療法」や「在宅人工呼吸療法」が必要となる場合もあります。



(2023年3月22日 中日新聞近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


posted by けやき内科 at 05:00| 教えて ドクターQ & A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする