Q) 60代男性です。最近、食事中にむせてしまうことが多くなりました。病院に行った方がいいでしょうか?
A) 通常、人は口か鼻で呼吸していますが、ものを食べる時も口から食べています。息も食べ物も入口は同じ「口」なわけですが、喉の奥の部分で息の通り道である「気管」と食べ物の通り道である「食道」に別れており、特に意識しなくても食べ物は「気管」に入らずに「食道」に入るような構造になっています。「むせる」というのはこの構造が何らかの理由で破綻したために起きる現象で、本来何も固形物が入らない「気管」に食べ物が入ってしまうため咳き込んでしまうのです。また飲食物が「気管」に入る現象を医学用語では「誤嚥」と言います。誤嚥をきっかけに肺炎になること(誤嚥性肺炎)もありますので注意が必要です。
「むせる」原因はさまざまで、脳梗塞などの脳血管障害に伴って嚥下機能が低下して起きる場合もあれば、「気管」と「食道」の分かれ道の部分にある「喉頭」にできた腫瘍などが原因で起きたり、声を出す役割の「声帯」を動かす「反回神経」が何らかの原因で麻痺することが原因となる等が挙げられます。また反回神経麻痺の原因も肺癌・大動脈瘤・神経疾患などさまざまです。このように「むせる」場合はさまざまな病気の可能性が考えられますので、病院に行かれたほうがいいですね。
(2023年6月16日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)