
A) 「肺炎」は「細菌」や「ウイルス」などの病原体が、鼻や喉を通過して気管支のさらに奥の肺まで侵入して繁殖し、肺で炎症を引き起こすことによる疾患です。しかしもともと人間の喉や鼻の粘膜には病原体をブロックする働きがあるため、そんなに簡単に病原体が肺の奥まで侵入することはできません。
一方で「風邪」というのは主に「ウイルス」の感染によって引き起こされるもので、ウイルスは鼻から喉の粘膜を中心に感染・繁殖して炎症を起こすため、喉の痛みや鼻汁・鼻閉といった症状がみられます。また鼻や喉の症状のみではなく、喉が痛いこともあって食欲も低下し、発熱に伴って体力も消耗します。
「風邪をこじらせて肺炎に」というのは、「風邪」によって鼻や喉の炎症が起きているために、本来ブロックされるはずの病原体が容易に通過して肺にまで到達してしまい、かつ体力が低下しているため免疫力も低下して肺で繁殖しやすい状況となり、「肺炎」が起きやすくなる事を指します。もちろん「風邪」をひくと必ず「肺炎」になるわけではありません。「風邪」の段階で治まるように早めに体力の回復に努める事が重要なのです。
(2023年11月25日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)