
A) たばこの煙には「主流煙」と「副流煙」があります。主流煙とは喫煙者がたばこのフィルターを通して吸い込む煙で、副流煙とは、たばこの火のついた部分から立ちのぼる煙です。 煙の中には、ニコチン、タール、アンモニア、一酸化炭素等の有害物質が含まれており、これらは主流煙より副流煙の方が何倍も多いことがわかっています。喫煙者の周囲には副流煙にくわえて喫煙者から吐き出された主流煙の両方が存在することになります。ただ、どちらの煙も空気中に拡散されて濃度が低下しているため、直接主流煙を吸い込んでいる喫煙者に比べて、喫煙者の周囲の人のほうが多く健康被害をうけるとはいいきれません。
自分は喫煙していないのに喫煙者の影響で周囲の煙を吸い込んでしまうことを「受動喫煙」といいますが、夫が喫煙者の場合に妻の肺がんの発生リスクが高くなることや、親が喫煙者の家庭の子供の喘息発症率が高いことが知られており、いずれも受動喫煙によるものと考えられています。また喫煙者の髪の毛や衣服には有害物質が付着しており、その場で喫煙していなくても喫煙者と生活するだけで周囲の人は健康被害をうける可能性があるとも言われています。早く「たばこゼロ」の社会が実現できるといいですね。
(2025年1月28日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)