
A) 必ずしも肥満体型の方しか脂質異常症にならないわけではありません。脂質異常症のうち「家族性コレステロール血症」は遺伝性疾患であり、およそ300人に1人ほどの頻度でみられます。特に肥満でなくとも若い頃から動脈硬化の原因となるLDLコレステロールが高値となり、若い年代から心筋梗塞を中心とした動脈硬化性疾患をおこすのが特徴です。遺伝性であることから血縁者も同様にコレステロールが高く、心筋梗塞や狭心症等の心臓病を発症する人が多くみられます。本来LDLコレステロールは肝臓で大部分処理されるのですが、この処理能力が遺伝的に低いため引き起こされる病気なのです。
また遺伝でない場合でも極端な偏食があったりすると肥満でなくとも脂質異常症になる場合があります。例えば「糖質制限ダイエット」を行なっていてカロリー摂取を動物性タンパクのみに頼っている場合、結果的に飽和脂肪酸の過剰摂取に繋がり、LDLコレステロールが上昇することがあります。
脂質異常症は心筋梗塞などの命に関わる疾患に繋がります。「痩せているし症状がないから大丈夫」とは考えず、病院を受診し、適切な治療をうけることをお勧めします。
(2025年3月28日 近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)