けやき内科のブログをごらんいただき、ありがとうございます。院長の加藤景介です。
名古屋で開催されました「気管支喘息」の講演会に参加してまいりました。今回の講演会ではこの地域で気管支喘息の診療を専門的にやってみえる大学病院の先生のご講演ののち、気管支喘息の分野では全国的に高名な東京の大学教授の先生のご講演をおききしました。
一つ目のご講演は「嗅覚と気管支喘息」というタイトルでしたが、気管支喘息に合併することが多い「副鼻腔炎」についての内容でした。私自身も日常診療で気管支喘息の患者様が副鼻腔炎になられる事が非常に多いのは実感しており、気管支喘息と副鼻腔炎の治療はどちらも並行しておこなっていかないと共に改善していかないと考えています。ご講演では「嗅覚」の評価に焦点をあてて診断・治療へのアプローチに関するデータをご呈示いただき、大変興味深いものでした。
二つ目のご講演は「喘息の最新治療」というタイトルで、重症の喘息に対して現在有効性が確立されている最新の治療データのご紹介や、慢性疾患である気管支喘息の治療のステップダウンの考え方など、国際ガイドラインの内容にもふれながらご教示いただきました。なかでも喘息治療のステップダウンについては私自身も常日頃から色々と考えている部分があり、今回のご講演を拝聴していくつかの考え方が整理されました。
気管支喘息は基本的に慢性疾患であり、特に成人の場合は現在の医学では完治できないとされていることから治療期間が年単位と長期におよぶことが通常です。かといっていつまでも同じ薬を使い続けるのがよいわけではなく「治療薬剤は必要最低限」というスタンスは守るべきであり、病状が安定しているのであれば治療薬の種類・用量を「より少なく」していく事が望ましいと考えられます。「ステップダウン」というのは、この治療薬の種類や用量をへらしていく事をさします。一方で気管支喘息が慢性疾患である以上、薬剤の減量・中止によって病状の悪化がみられる可能性があることも事実であり、医師の立場としては「病状の悪化がおきないよう、治療薬剤を必要最低限」とできるように治療計画をたてていかねばなりません。気管支喘息の場合、「症状がよくなったから大丈夫」という誤解のもと治療の中断が行われてしまう現実があり、不十分な治療が喘息のさらなる病状悪化をまねくとされている事から非常に問題となっています。そういった中で「症状」という主観ではなく、「ピークフローメーター」をもちいた病状把握や、「肺機能検査」「呼気中一酸化窒素(FeNO)測定」「気道過敏性試験」といった客観的指標をもとにした治療管理が重要とされています。
今回の講演会に参加して、けやき内科に通院されているたくさんの喘息患者様によりよい治療を提供できるよう、これからも積極的にとりくんでいきたいとあらためて思いました。
これからもけやき内科をよろしくお願いいたします。