
名古屋で開催されました「第81回 東海呼吸器感染症研究会」に参加してまいりました。この会は年に2回定期的に開催されるもので、東海地域で「肺炎」「肺結核」といった呼吸器感染症の研究・診療に積極的な医療機関の医師が参加し、毎回活発な議論が行われ非常に活気があります。今回は「関節リウマチ」を代表とする自己免疫疾患にみられる呼吸器感染症を中心に、各医療機関からの症例等の発表ののち、この領域では第一人者であられる先生の特別講演を拝聴いたしました。
「関節リウマチ」などの自己免疫疾患は、本来は細菌などの外的物質に対しておきる防御反応である「免疫応答」の異常により引き起こされる、様々な症状を呈する全身性の疾患です。例えば「関節リウマチ」は関節の変形が起きる事は一般にもよく知られていますが、免疫応答の異常により呼吸器系の異常、たとえば「気管支拡張症」や「細気管支炎」「間質性肺炎」などが合併することも知られています。また自己免疫疾患に対する治療として、免疫抑制剤や生物学的製剤などの免疫系に働きかける治療薬が使用されることにより、「細菌性肺炎」「肺結核」「非結核性抗酸菌症」などの様々な感染症のリスクが高まる事が知られています。したがって自己免疫疾患の治療中の患者様に「咳」「痰」などの気道症状がみられた場合、自己免疫疾患にともなう呼吸器合併症がおきているのか、あるいはなんらかの気道感染症が合併しているのか、より的確な診断により治療計画をたてていく必要があります。
今回の研究会では、各医療機関の熱心に医療にとりくむ姿勢が肌で感じられたことはもちろんですが、特別講演も非常にわかりやすく組織学的な見地や実臨床における症例経験に至るまで幅広くご講演いただき、大変勉強になるものでした。今回の研究会で得られた知見を早速これからの診療に活かしていきたいと思います。
これからも「けやき内科」をよろしくお願い致します。