けやき内科のブログをご覧いただきありがとうございます。院長の加藤景介です。
名古屋で開催されました「気管支喘息」のセミナーに参加してまいりました。今回は全国的にもご高名な大阪で気管支喘息の診療を積極的におこなってみえる呼吸器センターの先生にご講演いただき、講演後に参加医師みなでディスカッションをおこないました。今回のセミナーでは「気管支喘息」の診断に今や欠かせないものとなっている「呼気中一酸化窒素(FeNO)測定」の考え方や、検査結果や問診等をもとにいかに治療計画をたてていくか、数ある吸入薬のそれぞれにどういった特性があるか、診療所と病院・調剤薬局でいかに連携をとっていくか等、幅広い内容でご講演いただき、大変勉強になりました。ディスカッションでも各医師の発言から実際の診療において各医療機関でいかに取り組んでいるかが垣間見られ、非常に有意義な時間がすごせました。
「気管支喘息」は日本人の10%近くが罹患しているともいわれるよくみられる疾患なのですが、様々な点で誤解されていることも多い疾患とも言えます。もっとも多い誤解が「症状」に対する評価で、「症状がなくなったからよくなった(治った)」と思われてしまう事でしょう。「気管支喘息」は慢性疾患であり、症状がなくなっていても本態である「気道の炎症」はまだおさまっていないこともよくあり、それにともなって起きる「気道狭窄」が残っていることも少なくありません。そのまま放置してしまうと経年的に呼吸機能障害が進行してしまう可能性があり、これを防ぐために症状がなくなってもしっかりと必要な治療を継続していく必要があります。しかしながら症状のない状態で病状を判断するには「呼気NO測定」や「呼吸機能検査」「呼吸抵抗測定」等の客観的指標となる検査が不可欠ですが、このような検査が一般に認知されているかというと現状そうではありません。このような現状のなか、専門的医療機関が今後どのように診療にとりくんでいくかは大きな課題といえると思います。
今回のセミナーに参加して、私自身の見識の整理もでき新たな観点からの課題を考える機会にもなりました。
地域における数少ない呼吸器専門医の立場として、これからも積極的に診療に取り組んでいきたいと思います。
これからもけやき内科をよろしくお願いいたします。