Q) 以前よりアレルギーのある子供が増えたのは、昔より生活環境が衛生的になったからと言う意見を聞きますが、本当でしょうか。アレルギーを発症しないようにするためには、あまり衛生的な環境にしない方が良いと言うことですか。
A) アレルギーの発症には「遺伝的要因」と「後天的要因」が関与していると言われています。前者は「遺伝子」が関与するとされるもので、後者は産まれた後の環境や何らかの外的因子の影響(感染症や抗原暴露など)によるというものです。後者の一つに「衛生仮説」がありますが、これは「清潔すぎる環境がアレルギーの発症につながる」というもので、乳幼児期に微生物の感染等の刺激が少なくなる事によって、免疫の発達が不十分となりアレルギー疾患の発症に関与すると考えられています。
しかしながら「不潔な環境が良い」と言っているわけでは決してなく、「感染症にかかった方が良い」と言うわけでもありません。どうするのがベストかと言うのはなかなか難しいですが、過度に衛生的にする事なく「自然に近い形」が良いと言うくらいでしょうか。また抗菌剤の投与が腸内の細菌に影響を与えアレルギーの発症に関与するという報告もありますので、必要以上に抗菌剤を服用しないほうがいいとは言えると思います。
(2020年7月18日 中日新聞なごや東版「教えて!ドクター Q&A」掲載)