
A) まず「間質性肺炎」ですが、これは肺の「間質」と言う部位に炎症をきたす肺炎の総称で、細菌やウイルスによる感染症である「肺炎」とは全く異なるものであり、関節リウマチや皮膚筋炎などの膠原病に伴うものや、薬剤の副作用として起きるもの、原因の特定できないもの等が挙げられます。原因の特定できない間質性肺炎は「特発性間質性肺炎」と呼ばれ、初期には無症状であることが多いですが病状の進行に伴い「息切れ」や「咳」等の症状を自覚するようになり、確立された治療法がない事から国の定める「指定難病」の一つとなっています。
現在「特発性間質性肺炎」は主要な6つの病型、稀な2つの病型および分類不能型に分類されていますが、頻度としては「特発性肺線維症(IPF)」が最も多く80〜90%を占めています。現在「IPF」を完治させる治療法はなく、ある程度進行した段階では「抗線維化薬」により病状の進行を緩やかにできる場合がありますが、効果には個人差があります。病状の進行に伴って呼吸不全が進行し、自宅で酸素吸入を行う「在宅酸素療法」が必要となる場合もあります。また時に急激に呼吸困難が出現する「急性増悪」がみられることもあります。診断されてからの平均生存期間は5年程度と言われていますが、人によって経過は様々であり一概には言えません。担当の医師にお父様の病状を詳細に確認することをお勧めいたします。
(2021年5月28日 中日新聞なごや東版「教えて!ドクター Q&A」掲載)