Q) 現在小学生の子供がいるのですが、小さい頃からアトピーがひどく通院していました。最近咳が続いて病院を受診したところアレルギー性の喘息と診断されました。だんだんアレルギーがひどくなっていくようで心配です。何か対処法はあるのでしょうか。
A) もともとアトピー性皮膚炎のあるお子さんが気管支喘息を発症するのは、さほど珍しいことではありません。アトピー性皮膚炎、気管支喘息に引き続いてアレルギー性鼻炎や結膜炎を発症する場合もあり、このように「アトピー素因」のある子供が年齢とともにいくつかの臓器で次々にアレルギー疾患を発症していく現象は「アレルギーマーチ」と呼ばれています。複数のアレルギー疾患があると「ひどくなっている」「重症になっている」ととらえがちですが、必ずしもそうではないとお考えください。小児のアトピーや喘息については適切な治療を行うことによって、治癒・寛解にもっていくことも可能と考えられています。複数のアレルギー疾患がある場合に重要なのは「同時に適切な治療を行なっていくこと」と考えられています。例えば「喘息の症状がひどいからまずは喘息の治療を」「アトピーがひどいからアトピーさえ良くなればいい」というような治療の進め方をすると、どちらも良くならない状況に陥ることがあります。一つの体の中で起きている問題であり、総合的に判断してコントロールできるように治療計画をたてていくことが重要です。それぞれの病状を正しく見極めて適切な治療を行なっていくために、アレルギー専門医を受診することをお勧めいたします。
(2021年7月15日 中日新聞市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)