Q) 「喘息」と「肺炎」を見分けるには、何が一番の違いになりますか。また「喘息」から「肺炎」になることがあるのか、「肺炎」に対して気をつけた方が良いことがあれば教えてください。
A) 「喘息」はアレルギー疾患であるのに対し「肺炎」は細菌やウイルスなどの病原体による「感染症」です。したがってこの2つの疾患の最も大きな違いは「感染症」に伴う典型的な全身症状、例えば「発熱」や「全身倦怠感」などの症状があるかどうか、ということになります。
通常「喘息」は「感染症」ではないため「発熱」などの全身症状はみられず、「咳」「息苦しさ」「喘鳴」などの気道症状が主体です。ただ必ずしも症状のみでは見分けがつかない場合もありますので注意は必要です。例えば「発熱はなく咳が2週間ほど続く」というような症状で受診され、胸部レントゲンから「肺炎」と診断されるような場合があります。また「肺炎は治ったが咳が続く」というような状況で、呼吸機能検査やFeNO測定を実施して「気管支喘息」と診断されるような場合もあります。
このように一概に症状のみでは見分けがつかない場合もありますため、レントゲンや採血、呼吸機能検査、FeNO測定などの検査を必要に応じて行い、判断する必要があるのです。また疾患として異なりますので「肺炎を契機に喘息症状が悪化する」ということはあっても、「喘息が原因で肺炎になる」ということはありません。
「肺炎」にならないようにするには、日常的な手洗いなどの感染対策を行うことが重要と考えます。症状がながびき不安な状況がある場合には「呼吸器専門医」を受診することをお勧めいたします。
(2021年8月6日 中日新聞市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)