
A) 「毎年同じ季節に症状がでる」というのは、アレルギー疾患を疑う第一の根拠になります。春のこのくらいの時期ですと「ヒノキ花粉」が最も疑わしいでしょうか。「目のかゆみ」「透明な鼻水」というのはいわゆる「花粉症」の代表的な症状ですので、おっしゃる症状からは「ヒノキ花粉」による「花粉症」が最も考えられます。ただご注意いただきたいのは「咳」の症状についてです。確かに「花粉症」でも咳が出ないとは言い切れませんが、「花粉症」の方のおよそ3割は「気管支喘息」が合併するとも言われており、咳の症状は「気管支喘息」によるものの可能性があります。「花粉症」の症状を契機に「気管支喘息」が悪化することは珍しいことではありません。
「花粉症」の治療が抗アレルギー剤の内服が中心になるのに対して、「気管支喘息」は吸入ステロイド薬・気管支拡張薬等の吸入が中心になり、治療方針が異なります。また「花粉症」と「気管支喘息」を合併している場合には、片方の治療のみしていては病状のコントロールができないことも多々あり、両方の治療を適切に並行して行うことでともに治療効果が発揮されます。確定診断および治療のため一度アレルギー専門医を受診することをお勧めいたします。
(2022年4月23日 中日新聞市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)