Q)毎年インフルエンザの予防接種を打つべきか迷います。ワクチンはやはり接種すべきですか?
A) まずインフルエンザの予防接種をする目的が何かを理解する必要があります。「個人」という意味でいうと、インフルエンザの予防接種は決して「感染を防ぐ」ものではありません。「感染しても発症を防ぐ」あるいは「発症しても重症化を防ぐ」という事が期待できる効果です。インフルエンザは若い健康な方が罹患すると比較的症状が軽くすむ場合もありますが、65歳以上の高齢者や心疾患・呼吸器疾患・糖尿病などの基礎疾患を有する方は重症化するリスクが高いと考えられており、予防接種はより推奨されるべき対象と言って良いでしょう。
一方「集団」という意味で考えると「感染拡大を抑える」という効果もあります。インフルエンザは飛沫感染であり、原則「せき」や「くしゃみ」といった症状がある人から別の人に伝播していきます。症状が軽く抑えられれば、それだけ人から人に広がっていくのを阻止できる事になるのです。これは学校や会社などの集団生活を送る上で重要であり、インフルエンザの流行は学校や会社の機能停止につながり社会的経済的損失をうむと考えられるのです。
このようにインフルエンザは「個人」の健康を守り「集団」としての営みを維持する意義があるものとお考えください。その上でご判断いただければと思います。
(2022年12月7日 中日新聞市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)