2023年05月16日

Q「息切れで受診したところCOPDと診断され、喘息も合併していると・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 息切れで受診したところCOPDと診断され、喘息も合併していると言われました。喘息を合併していると普通のCOPDとはどう違うのでしょうか?

A) COPD(慢性閉塞性肺疾患)はタバコの煙を主とする有害物質を吸入暴露することで生じる肺の炎症性疾患です。喫煙によって気道(気管支)の炎症が慢性的に惹起され、肺構造の最小単位である肺胞の破壊が起きることによる気腫性変化も生じる疾患で、症状としては慢性的な「咳」や「痰」、運動時の「息切れ」などを特徴とします。一方で喘息は気道の慢性炎症によって「咳」や「ヒューヒュー」「ぜいぜい」といった喘鳴を生じうる、アレルギー性の呼吸器疾患です。一般的にCOPDの方のおよそ3割は喘息を合併するといわれ、もともと小児喘息の治療をしたことがあって大人になってから喫煙をされている方や、喫煙者で花粉症やアトピー性皮膚炎などアレルギーの素因がある方は、「喘息合併COPD(ACO)」の可能性があります。症状のみで喘息合併かどうか判別するのは困難ですが、喘息合併の場合は季節による症状の変動がみられる場合もあります。治療薬としては抗コリン薬やβ2刺激薬などの気管支拡張剤の吸入が挙げられますが、喘息を合併している場合には吸入ステロイド薬の併用が推奨されています。またCOPDは年齢とともに徐々に呼吸機能が低下していくことが知られていますが、喘息合併の場合は吸入ステロイド薬を含む適切な治療を行うことで、通常のCOPDよりも呼吸器機能が改善する可能性があるといわれています。今後しっかりと通院治療されることをお勧めいたします。


(2023年5月16日 近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


posted by けやき内科 at 05:00| 教えて ドクターQ & A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする