Q) 階段をのぼると息切れするのが気になっています。病院に行った方がいいでしょうか?どんな病気が考えられますか?
A) まず「息切れ」がなぜ起きるのかを理解いただく必要があると思います。「息切れ」の起きる原因は酸素不足です。酸素は呼吸によって空気中から体内にとり込まれ、肺の肺胞で血液中に溶け込みます。血液中の酸素は赤血球のヘモグロビンによって全身に運ばれるわけですが、血液を全身に送るポンプの役割は心臓が担っています。この肺、ヘモグロビン、心臓、の3つのうちのどれかに問題が起きると酸素不足になり、息切れが起きる可能性があります。したがって慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎などの慢性進行性の呼吸器疾患の存在は息切れの原因になり得ます。また心臓弁膜症や心筋梗塞などの心疾患も慢性心不全を起こし、息切れの原因となり得ます。またヘモグロビンの減少はいわゆる貧血を指しますが、胃や大腸などに何らかの病気ができて起きる消化管出血は貧血の原因になりますし、白血病などの血液疾患も貧血を伴う場合があり、また女性の場合は子宮内膜症や子宮筋腫など婦人科系疾患の存在が、貧血につながる可能性があります。このように息切れの原因となり得る疾患は多種多様であり、息切れの症状のみでは原因となっている疾患を推定するのは困難です。息切れの程度にもよりますが、早めに病院を受診して精密検査を受けることをお勧めいたします。
(2023年8月25日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)