
A) 「NTM」というのは「非結核性抗酸菌」のことで、「肺NTM症」とは非結核性抗酸菌による肺感染症をさします。非結核性抗酸菌は結核菌と同じ抗酸菌の仲間ですが、その種類は多く180種類以上にのぼります。ただ肺NTM症の原因となる非結核性抗酸菌は「MAC(マック)菌」が90%以上を占めているため「肺MAC症」と呼ばれる場合も多いです。非結核性抗酸菌は水場や土壌に多く存在します。また肺結核と違い、肺NTM症は人から人にうつることはないと考えられています。また肺NTM症は中高年の女性で、特にガーデニングなど土いじりなどをすることが好きな人に多いことがわかっています。肺NTM症は肺結核と同様にながびく咳、痰、血痰、体重減少などの症状がでる場合もありますが、多くは無症状であり健康診断などで発見されることもよくあります。レントゲン所見としては気管支拡張所見、粒状影、結節影、空洞などがみられる場合があります。
健康診断で指摘があっても「症状がないから」と受診しない方は案外多いものです。肺NTM症は気づかないうちにゆっくりと進行し、症状が出始めた頃にはかなり悪化している場合もありますので、健康診断で異常を指摘された方は早めに病院を受診することをお勧めいたします。
(2025年2月27日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)