2023年01月25日

Q「コロナウイルスに感染して1ヶ月、まだ咳だけ残ります・・・」

教えてドクター2.jpgQ) コロナウイルスに感染して1ヶ月、まだ咳だけ残ります。この咳でも他人にうつる可能性はありますか?仕事は行っていますが休暇に人に会っていいのかわからず、気持ちも落ち込み気味です。

A) 通常コロナウイルスに感染後1ヶ月経過して他者に感染させることはまずありませんが、咳が続いていると不安を感じられるとは思います。なぜ咳が残るかですが、症状としては感冒程度のものであったとしても、実際はコロナウイルスによる肺炎になっており結果として解熱後も構造破壊が残り、それに伴って気道症状が遷延している可能性があります。通常発熱外来では抗原検査やPCR検査を行なってもレントゲンなどの画像検査は実施されない事がほとんどであり、症状が軽いために肺炎とは診断されず、結果として咳が長引いてしまう可能性があるのです。
 他は、コロナウイルス感染症を契機として他の呼吸器疾患が顕在化している可能性です。もともと花粉症やアトピーなどのアレルギー素因がある方や小児喘息の治療歴のある方が、コロナウイルス感染を契機として気管支喘息を発症することは珍しくありません。また元々喫煙歴のある方の場合、COPD(慢性閉塞性肺疾患)が潜在しておりコロナウイルス感染を契機に気道症状が顕在化して咳が長引く場合もあります。これらの場合は気管支喘息、COPDとしての治療を行わないと咳はなかなか治まりません。
 いずれにしても一度呼吸器専門医を受診することをお勧めいたします。



(2023年1月25日 中日新聞近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)

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2022年12月07日

Q「毎年インフルエンザの予防接種を打つべきか迷います・・・」

教えてドクター2.jpgQ)毎年インフルエンザの予防接種を打つべきか迷います。ワクチンはやはり接種すべきですか?

A) まずインフルエンザの予防接種をする目的が何かを理解する必要があります。「個人」という意味でいうと、インフルエンザの予防接種は決して「感染を防ぐ」ものではありません。「感染しても発症を防ぐ」あるいは「発症しても重症化を防ぐ」という事が期待できる効果です。インフルエンザは若い健康な方が罹患すると比較的症状が軽くすむ場合もありますが、65歳以上の高齢者や心疾患・呼吸器疾患・糖尿病などの基礎疾患を有する方は重症化するリスクが高いと考えられており、予防接種はより推奨されるべき対象と言って良いでしょう。
 一方「集団」という意味で考えると「感染拡大を抑える」という効果もあります。インフルエンザは飛沫感染であり、原則「せき」や「くしゃみ」といった症状がある人から別の人に伝播していきます。症状が軽く抑えられれば、それだけ人から人に広がっていくのを阻止できる事になるのです。これは学校や会社などの集団生活を送る上で重要であり、インフルエンザの流行は学校や会社の機能停止につながり社会的経済的損失をうむと考えられるのです。
 このようにインフルエンザは「個人」の健康を守り「集団」としての営みを維持する意義があるものとお考えください。その上でご判断いただければと思います。



(2022年12月7日 中日新聞市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)



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2022年11月22日

Q「ゼーゼー、ヒューヒューという音(喘鳴)があり・・・」

教えてドクター2.jpgQ) ゼーゼー、ヒューヒューという音(喘鳴)があり、気管支喘息と診断されました。しかし、気管支喘息の治療をしても改善しません。本当に気管支喘息なのでしょうか。

A) まず気管支喘息という診断が正しいかどうかですが、症状以外に診断根拠はありますでしょうか。確かに「喘鳴」は気管支喘息の代表的な症状の一つですが、気管支喘息以外にも「喘鳴」をきたす疾患はあります。細気管支炎、DPB(びまん性汎細気管支炎)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患や、心不全のような心臓疾患でも「喘鳴」はみられます。これらの疾患かどうかを判断するためには、胸部レントゲンやCTなどの画像診断や呼吸機能検査、気道のアレルギー反応の有無を判断するFeNO測定など、種々の検査が有用と言えます。
 気管支喘息という診断が正しかったとして、改善しないと感じられる場面もいくつか考えられます。まず気管支喘息の治療薬は吸入薬が中心となりますが、通常治療開始してすぐに劇的な症状の改善はみられません。効果がでるのに数日から1週間程度は要しますので、日にちをみることも必要です。また吸入薬は「吸う」という動作を要する特性上、上手く使えていないと十分な効果は発揮されません。吸入方法が正しいかどうかを確認する必要もあります。また喘息は症状のみを基準に重症度を判断してしまうと病状が過小評価されることもよくあります。重症度の過小評価により不十分な治療薬の選択になってしまい改善しない可能性もあります。一度呼吸器専門医を受診することをお勧めいたします。



(2022年11月22日 中日新聞近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2022年11月17日

Q「からせきが3週間以上続きます・・・」

教えてドクター2.jpgQ)からせき(たんのないせき)が3週間以上続きます。ただの風邪でしょうか。

A) 「風邪」とは上気道(鼻腔から咽頭までの気道)における急性の炎症によって引き起こされる種々の症状を特徴とする疾患です。もちろん「せき」も「風邪」の代表的な症状の一つですが通常は持続するのは1週間から10日程度で、3週間以上続くというのは「風邪」以外の問題の存在を疑う根拠となります。
 「風邪」はウイルスの感染に起因することが最も多いのですが、もし感染症とすると「風邪」ではなく「マイコプラズマ感染症」や「百日咳」といった「ながびくせき」を特徴とした感染性疾患が疑われます。その場合は治療として有効な抗生物質の投与が必要となりますし、人から人にうつる可能性もありますので症状のある間は注意が必要です。
 また感染症以外に「気管支喘息」「咳喘息」「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」といった呼吸器疾患が潜在していたために長期間せきが続いている可能性もあります。症状の出始めには「風邪」だったとしても、このような疾患が元々あって「風邪」を引き金として症状がながびく状況になる場合もあるのです。この場合、「喘息」や「COPD」に対しての治療を行わないとせきはなかなか治りません。
 いずれにしても「ただの風邪」とは考えにくく、一度呼吸器専門医を受診することをお勧めいたします。



(2022年11月17日 中日新聞市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2022年09月21日

Q「70代の父は10年前まで喫煙していました・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 70代の父は10年前まで喫煙していました。基礎疾患はないのですが、やはり喫煙経験者だと肺の病気や新型コロナウイルスなどかかりやすいのでしょうか。高齢者なので心配です。

A) 60才代まで喫煙されていたということですと、30年以上喫煙歴があるということでしょうか。特に基礎疾患はないとのことですが、COPD(慢性閉塞性肺疾患)が潜在している可能性はあるかと思います。COPDは自覚症状が乏しいまま進行することも少なくなく、胸部レントゲンでの健康診断では指摘されにくく、胸部CTによる肺気腫の確認や呼吸機能検査による機能障害の有無を確認しないと確実には診断できません。一方で呼吸機能検査は強制呼気を検査手技に必要とするため、コロナ禍となってからは感染リスクの観点から人間ドックでも実施されない事が多くなり、結果としてCOPDの見落としにつながっている可能性もあります。また高齢であることやCOPDの存在は新型コロナ感染におけるリスクと言われていますが、「かかりやすい」というわけではなく「重症化しやすい」とご理解ください。
 いずれにしても感染しないように配慮する事が重要であり、喫煙歴や年齢を考えるとワクチン接種や手洗い・マスク・密の回避などの感染対策を継続することが必要です。万が一発熱などの感染を疑う症状がみられた場合には、早めに指定医療機関にて検査を受けることをお勧めいたします。



(2022年9月21日 中日新聞市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)

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