2025年12月23日

Q「睡眠時無呼吸症候群は放置すると危険だと聞きました・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 睡眠時無呼吸症候群は放置すると危険だと聞きました。どのような検査や治療が必要ですか。

A) 「睡眠時無呼吸症候群」は睡眠中に何度も呼吸がとまる病気です。医学的には「10秒以上呼吸がとまる状態」を無呼吸と言い、平均して1時間に5回以上睡眠中に無呼吸が見られる場合は、この疾患と診断されます。
 診断のために実施される検査としては、まず「アプノモニター」があげられます。この検査では主に鼻や口での呼吸の状態と血液中の酸素濃度を測定して無呼吸の状態を計測します。通常は自宅に検査機を貸し出しして、自宅でおこないます。より一段階すすんだ検査として「ポリソムノグラフィー(PSG)」もあげられます。この検査では呼吸の状態や酸素濃度にくわえて、脳波なども同時に測定します。PSGは通常入院の必要な検査であり1泊あるいは2泊入院することとなります。しかしその分PSGのほうが睡眠の状態をより詳細に把握することが可能です。
 アプノモニターあるいはPSGで一定の基準をこえて無呼吸がみられた場合は治療の対象となりますが、治療としては「在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)」が一般的です。この治療は鼻にマスクをつけ、機械で持続的に圧力をかけて無呼吸がおきるのを抑制します。無呼吸を治療することで、日中の眠気や睡眠の質が改善されることはもちろんですが、一番の治療目的は将来おきうる合併症の予防にあります。無呼吸を治療せず放置すると、脳梗塞などの脳血管障害や、心筋梗塞などの心血管障害などの合併症のリスクが高まることが知られています。
 いびきをかく方や日中の眠気を自覚される方は睡眠時無呼吸の可能性がありますので、まずは積極的に検査をうけることをお勧めいたします。


(2025年12月23日 近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2025年11月28日

Q「喫煙でダメージを受けた肺は、禁煙後どの程度まで回復する・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 長年の喫煙でダメージを受けた肺は、禁煙後どの程度まで回復するものなのでしょうか? 完全に元に戻ることはないのですか?

A) 「タバコ」は嗜好品ですが、体にとっては有害物質以外のなにものでもありません。そして喫煙によって様々な健康被害がおきることは今や常識となっているにもかかわらず、意外にも「禁煙すれば大丈夫」と考えている方が多いものです。
 残念なことに「喫煙による肺へのダメージ」は完全に元に戻ることはありません。喫煙と関連性の高い肺の疾患で代表的なものに「肺がん」があります。肺がんは喫煙開始年齢が早いほど発症リスクが高くなります。その理由は一生で吸うタバコの総本数と肺がん発症の関連性が高いと言われているためです。同じ理論でいえば、喫煙者でも早く禁煙すればするほど肺がん発症リスクはさがることになります。これまでの統計から禁煙後10年で、肺がんの発症リスクは喫煙者の約半分に減るとは考えられています。ただし10年以上禁煙継続できていても非喫煙者と同等になることはありません。
 次に喫煙と関連性の深い肺の疾患で「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」があげられます。喫煙による慢性的な炎症にともなって肺の構造変化として「肺気腫」が引き起こされ、肺機能上閉塞性障害がみられるようになり、慢性的な「せき」「たん」や動いた時の「息切れ」が症状として現れます。肺気腫性の変化、肺機能の低下は加齢によっても進行することから、禁煙しても元にもどることはなくむしろ禁煙後も悪化していきます。ただし喫煙を継続するよりは悪化のスピードは遅くなります。
 元に戻らないと言っても禁煙する意味がないわけではありません。できるかぎり早く禁煙したほうが体にとっていいことは間違いないのです。


(2025年11月28日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)



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2025年10月29日

Q「半年ほど前から夜に寝ると咳が・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 半年ほど前から夜に寝ると咳が出ます。眠れないほどではないですが、そのままにしておいて大丈夫ですか。

A) 夜に寝るとでる咳とのことですが、いくつかの可能性が考えられます。
 代表的なものでアレルギーによるもの、特に「気管支喘息」による咳は夜間にひどくなることで知られています。夜間就寝中には自律神経において副交感神経が優位となるため、気管支が狭い状態となり反応しやすい状況となる事が原因の一つです。他にも住環境(寝室)のハウスダストや冷気、乾燥なども一因となると考えられています。
 就寝中というわけではありませんが、寝た姿勢によって出る咳であれば、「副鼻腔炎」による咳も考えられます。副鼻腔にたまった分泌物が横になったことによって垂れ込み、それが刺激となって咳が出やすくなります。他には「逆流性食道炎」でも寝た姿勢で咳が誘発されることもあります。これは胃から逆流した胃酸が気道への刺激となる事が原因です。また「心不全」でも寝た姿勢によって肺水腫へとつながり咳がでる場合があります。
 もともとアレルギーの素因があるか、鼻炎があるか、胃炎症状があるか、高血圧など循環器系に問題があるかなど、患者様の疾患背景により何が疑われるか異なってはきますし、症状のみでの判断は困難です。一度呼吸器専門医を受診する事をお勧めいたします。。


(2025年10月29日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2025年09月28日

Q「最近「百日ぜき」という言葉を・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 最近「百日ぜき」という言葉を耳にしました。風邪や咳喘息とどう違うのでしょうか?受診の目安があれば教えてください。

A) まず「風邪」についてですが、通常は主にウイルスの感染による「のど」や「鼻腔」などの上気道の炎症のため「咳」「鼻水」「咽頭痛」などの症状がみられる急性疾患で、数日から一週間ほどでおさまってくることがほとんどです。一方で「百日ぜき」は「百日ぜき菌」という細菌による感染症です。病初期は風邪と大差のない症状ですが、咳のみがしつこく続き2ヶ月から3ヶ月と長引く場合もあります。治療にはマクロライド系の抗菌薬が選択されますが、疑ってPCR検査や抗体検査を実施しないと確定診断ができないこともあり、見過ごされる可能性のある疾患の一つではあります。また感染者の咳とともに排出されるしぶきに含まれる「飛沫」あるいは「飛沫核」によって、人から人に感染することも多いことから、家族全員の咳がながびいているという状況になる場合もあります。
 一方で「咳喘息」は感染症ではなくアレルギー疾患です。ただ「風邪」などの感染症をきっかけに咳がながびくことも多く、一定期間ながびくと自然に症状がおさまる場合もすくなくないため、正直症状のみでは「百日ぜき」と「咳喘息」ではまったく区別することができないといっていいでしょう。通常「咳喘息」の診断には、気道狭窄がなく気道過敏性が亢進していることを証明する必要があるため、「呼吸機能検査」や「気道過敏性試験」などの検査が必須です。咳が長引いている場合は自己判断せず呼吸器専門医の受診をお勧めします。


(2025年9月28日 近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2025年08月28日

Q『健康診断で肺サルコイドーシスの疑いがあると・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 健康診断で胸部レントゲンに影が見つかり、肺サルコイドーシスの疑いがあると言われました。この病気は肺にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

A) 「サルコイドーシス」は原因不明の疾患で、厚生労働省から難病指定もされています。体のさまざまな部位、いろいろな臓器に「肉芽種」ができるのが特徴です。頻度が高いのは「肺」「皮膚」「眼」「心臓」ですが、「筋肉」「肝臓」「神経」などにもできる可能性があります。
 「肺」については、肺門部のリンパ節が肉芽腫性変化にともなって腫脹し、レントゲン上「両側肺門部リンパ節腫脹(BHL)」として発見されることが比較的多いとされています。通常リンパ節の腫脹だけでは無症状ですが、肺野に小結節や線維化の所見がみられる場合もあり、肺野の異常をともなう場合は病変の広がりによっては咳や息切れなどの症状をともなう事もあります。ただサルコイドーシスの病変は部位や大きさなどは人によって大きく差があるため、この症状があるからサルコイドーシスを疑うというようなことは通常ありません。
 サルコイドーシスは無症状だったり、症状があっても軽微な場合も多いことから、特に治療対象とならず無治療経過観察となることも少なくありません。また6割ほどの方は経過観察中に自然によくなるともいわれています。ただし中には症状が強く生活に支障をきたしたり、生命をおびやかすような状況となる可能性があると考えられる場合もあり、そのような時はステロイド剤による治療を行います。
 いずれにしてもまずは確定診断が重要です。診断にはCTや気管支鏡検査、ガリウムシンチ、心電図などの様々な検査が必要です。検査機器のそろっている病院の呼吸器専門医を受診することをおすすめいたします。


(2025年8月28日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)

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2025年07月29日

Q「かぜをひき、熱は下がったのですがたんが出るようになりました・・・」

教えてドクター2.jpgQ) かぜをひき、熱は下がったのですが、黄色または緑色のたんが出るようになりました。病院へ行ったほうがいいですか。

A) 「かぜ症候群」いわゆる「かぜ」とは、鼻腔から咽頭までの上気道において、なんらかの病原体によってひきおこされる急性の炎症による症状を呈する疾患をさします。一般的にはその病原体の9割近くがウイルスと考えられており、ウイルスに対しての「抗ウイルス薬」を必要とせず、症状をおさえる「対症療法」で完治が期待できます。一部はウイルスではなく細菌であるとも考えられていますが、通常は対症療法で治癒が期待できる場合がほとんどです。またウイルス感染では痰がでることは少ないと考えられていますが、細菌感染の場合は今回のように痰をともなうこともあります。痰は「病原体と戦った白血球の残骸」とも考えられ、「かぜ」が治る過程でみられる特に普通の経過であることも少なくありません。
 ただ注意が必要なのは。上気道において細菌の活動性が高まって「化膿性扁桃炎」となったり、ウイルス感染にひきつづいて下気道に細菌の二次感染がおこり「気管支炎」や「肺炎」となった場合です。このような状況で痰が増えてくる場合も往々にあり、治療として細菌をおさえる「抗生物質」も必要となります。痰以外の症状の経過によっても判断は異なりますので、ご不安であれば病院を受診することをお勧めいたします。


(2025年7月29日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2025年06月24日

Q「健康診断の胸部X線検査で「肺に影がある」と言われ・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 60代男性です。健康診断の胸部X線検査で「肺に影がある」と言われ、精密検査を受けることになりました。肺がんの可能性が高いのでしょうか?

A) 具体的にどのような「影」なのかにより疑われる疾患はさまざまです。例えば「腫瘤影」であれば「肺癌」が疑われますし、「結節影」「粒状影」であれば「肺結核」が疑われる場合もあります。他にも所見によっては「気管支拡張症」や「非結核性抗酸菌症」など、疑われる疾患は非常に多岐にわたります。「肺の影」が必ずしも「肺がん」とは限らないのです。
 たしかに肺がんの可能性もあるかとは思いますが、肺がん以外の疾患でも早期に治療しないと生活に支障がでたり、肺結核などの感染症の場合は家族など周囲の方に感染させてしまうリスクもあります。仮に肺がんだとしても早めに診断・治療していくことが重要です。肺がんは死亡率の高い癌であることは間違いないですが、検査機器の進歩により以前よりも早期に診断でき、治療薬の進化により奏功率も向上しています。ご不安かとは思いますが精密検査をうけてまずは確定診断することが第一歩です。診断結果に基づいて適切な診療方針を選択されるよう、担当医とよく相談することをお勧めいたします。


(2025年6月24日 近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)



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2025年04月17日

Q「ぜんそくの治療のため、ステロイド薬を処方されました・・・」

教えてドクター2.jpgQ) ぜんそくの治療のため、ステロイド薬を処方されました。副作用が心配なのですが、大丈夫でしょうか。

A) ぜんそく治療に処方されうるステロイド薬は「吸入」と「内服(のみ薬)」の二種類あります。
 まずは「吸入」ですが、これは治療の中心となる薬剤であり気管支拡張剤との配合薬が処方される場合も多いです。ステロイド薬は強い抗炎症作用をもつため、吸入することで直接気管支に作用して喘息の本態である炎症をおさえるのに大変有効で、できる限り用量を少なくできるというメリットもあります。全身的な副作用がおきることは通常ありませんが、口の中に付着したままだとカビが繁殖して「口腔カンジダ症」になったり、声がかれたりする事があります。この副作用については吸入方法の工夫や、吸入後にうがいをしっかりすることである程度回避できます。
 次に「内服」ですが、風邪等をきっかけに症状が悪化し、気管支拡張剤をしっかり使用しても効果が不十分な場合に処方されます。内服は血糖上昇、血圧上昇、胃炎等の副作用がおきる場合があり、長期に使用することで骨粗鬆症、免疫力低下等も引き起こされる可能性があります。ただ一時的に喘息増悪に対して処方する場合は数日程度のため、予想される副作用は胃炎程度と考えられています。ごく稀に喘息の病状が不安定なために長期間内服継続投与する場合もありますが、最近はステロイド以外の注射薬を選択し、できる限りステロイド薬を長期使用しないよう推奨されています。
 このように剤形や投与期間によって副作用もかわってきますので、主治医とよく相談の上ご理解いただければと思います。


(2025年4月17日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2025年03月28日

Q「瘦せ型でも脂質異常症になることは・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 健康診断で脂質異常症の可能性を指摘されました。瘦せ型でも脂質異常症になることはあるのですか。

A) 必ずしも肥満体型の方しか脂質異常症にならないわけではありません。脂質異常症のうち「家族性コレステロール血症」は遺伝性疾患であり、およそ300人に1人ほどの頻度でみられます。特に肥満でなくとも若い頃から動脈硬化の原因となるLDLコレステロールが高値となり、若い年代から心筋梗塞を中心とした動脈硬化性疾患をおこすのが特徴です。遺伝性であることから血縁者も同様にコレステロールが高く、心筋梗塞や狭心症等の心臓病を発症する人が多くみられます。本来LDLコレステロールは肝臓で大部分処理されるのですが、この処理能力が遺伝的に低いため引き起こされる病気なのです。
 また遺伝でない場合でも極端な偏食があったりすると肥満でなくとも脂質異常症になる場合があります。例えば「糖質制限ダイエット」を行なっていてカロリー摂取を動物性タンパクのみに頼っている場合、結果的に飽和脂肪酸の過剰摂取に繋がり、LDLコレステロールが上昇することがあります。
 脂質異常症は心筋梗塞などの命に関わる疾患に繋がります。「痩せているし症状がないから大丈夫」とは考えず、病院を受診し、適切な治療をうけることをお勧めします。


(2025年3月28日 近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2025年02月27日

Q「肺NTM症という病気があると聞きましたが・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 肺NTM症という病気があると聞きましたが、どのような症状だと肺NTM症というのでしょうか。

A) 「NTM」というのは「非結核性抗酸菌」のことで、「肺NTM症」とは非結核性抗酸菌による肺感染症をさします。非結核性抗酸菌は結核菌と同じ抗酸菌の仲間ですが、その種類は多く180種類以上にのぼります。ただ肺NTM症の原因となる非結核性抗酸菌は「MAC(マック)菌」が90%以上を占めているため「肺MAC症」と呼ばれる場合も多いです。非結核性抗酸菌は水場や土壌に多く存在します。また肺結核と違い、肺NTM症は人から人にうつることはないと考えられています。また肺NTM症は中高年の女性で、特にガーデニングなど土いじりなどをすることが好きな人に多いことがわかっています。肺NTM症は肺結核と同様にながびく咳、痰、血痰、体重減少などの症状がでる場合もありますが、多くは無症状であり健康診断などで発見されることもよくあります。レントゲン所見としては気管支拡張所見、粒状影、結節影、空洞などがみられる場合があります。
 健康診断で指摘があっても「症状がないから」と受診しない方は案外多いものです。肺NTM症は気づかないうちにゆっくりと進行し、症状が出始めた頃にはかなり悪化している場合もありますので、健康診断で異常を指摘された方は早めに病院を受診することをお勧めいたします。


(2025年2月27日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)

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