Q) 最近「百日ぜき」という言葉を耳にしました。風邪や咳喘息とどう違うのでしょうか?受診の目安があれば教えてください。A) まず「風邪」についてですが、通常は主にウイルスの感染による「のど」や「鼻腔」などの上気道の炎症のため「咳」「鼻水」「咽頭痛」などの症状がみられる急性疾患で、数日から一週間ほどでおさまってくることがほとんどです。一方で「百日ぜき」は「百日ぜき菌」という細菌による感染症です。病初期は風邪と大差のない症状ですが、咳のみがしつこく続き2ヶ月から3ヶ月と長引く場合もあります。治療にはマクロライド系の抗菌薬が選択されますが、疑ってPCR検査や抗体検査を実施しないと確定診断ができないこともあり、見過ごされる可能性のある疾患の一つではあります。また感染者の咳とともに排出されるしぶきに含まれる「飛沫」あるいは「飛沫核」によって、人から人に感染することも多いことから、家族全員の咳がながびいているという状況になる場合もあります。
一方で「咳喘息」は感染症ではなくアレルギー疾患です。ただ「風邪」などの感染症をきっかけに咳がながびくことも多く、一定期間ながびくと自然に症状がおさまる場合もすくなくないため、正直症状のみでは「百日ぜき」と「咳喘息」ではまったく区別することができないといっていいでしょう。通常「咳喘息」の診断には、気道狭窄がなく気道過敏性が亢進していることを証明する必要があるため、「呼吸機能検査」や「気道過敏性試験」などの検査が必須です。咳が長引いている場合は自己判断せず呼吸器専門医の受診をお勧めします。
(2025年9月28日 近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)







