2024年09月27日

Q「最近階段をのぼるときなど、すぐ息が切れるのが気になって・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 最近階段をのぼるときなど、すぐ息が切れるのが気になっています。年齢のせいでしょうか?

A) 確かに年齢とともに筋力や心肺機能が低下することにより「息切れ」を自覚する可能性はありますが、必ずしも加齢によるとは言い切れません。
 一般に息切れは酸素不足によって起こります。酸素は呼吸によって空気中から体内にとり込まれ、肺の肺胞で血液中に溶け込みます。血液中の酸素は赤血球のヘモグロビンによって全身に運ばれますが、血液を全身に送る役割は心臓が担っています。この肺・ヘモグロビン・心臓の3つのうちのどれかに問題が起きると酸素不足になります。したがって慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎などの慢性進行性の呼吸器疾患、心臓弁膜症や心筋梗塞などの心疾患は息切れの原因となり得ます。またヘモグロビンの減少はいわゆる貧血を指しますが、胃や大腸などに何らかの病気ができて起きる消化管出血は貧血の原因になりますし、白血病などの血液疾患も貧血を伴う場合があります。
 このように息切れは様々な疾患から引き起こされる可能性があり、息切れの症状のみでは原因を特定するのは困難です。息切れの程度にもよりますが、早めに病院を受診して精密検査を受けることをお勧めいたします。


(2024年9月27日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2024年08月21日

Q「たまたま受けた胸部CT検査で肺の小さな結節を指摘され・・・」

教えてドクター2.jpgQ) たまたま受けた胸部CT検査で肺の小さな結節を指摘され、定期的な胸部CT検査を受けるよう言われました。どういった病気が考えられるのでしょうか。

A) 「CT検査で肺の小さな結節」とは、肺の中に数ミリ程度の丸い何らかの塊ができている事をさします。疑われる病気としては、肺がんなどの悪性疾患、肺結核、肺真菌症などの感染性疾患、陳旧性炎症性変化(過去の肺炎のあと)などがあげられます。一般的に頻度としては悪性疾患の確率は低いと考えられていることと、仮に肺がんだとしても早期の治療可能な肺癌である可能性が高いため、すぐに手術というようなことはなく画像で経過観察となるケースが多いです。また肺の中に何らかの異常が見られた場合、気管支鏡などでその部分の細胞を採取して、それが何なのかを顕微鏡で調べることで診断しますが、数ミリ程度だと細胞の採取が困難ということもあります。
 定期的な胸部CTの間隔や期間については、その結節の性状や喫煙歴や家族歴の有無によっても異なってきます。再検査にて結節の増大などの変化が見られた場合には、手術を含めて何らかの精密検査をすすめることとなります。担当医とよく相談して定期的な検査をお勧めいたします。


(2024年8月21日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)
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2024年06月25日

Q「毎年、胸部レントゲン写真による肺がん検診を受けて・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 毎年、胸部レントゲン写真による肺がん検診を受けています。早期発見のために、ほかにどんな検査を受けるのがよいですか。

A) 名古屋市の肺がん検診でも胸部レントゲンで評価していますが、喫煙歴が長く喫煙本数も多かった方は喀痰細胞診も併用して実施されています。一方で人間ドックなどではレントゲンでは小さい病変の描出が難しいと考えられるため、胸部CTで評価する場合もあります。
 なぜ肺がん検診で胸部CTをしないのかというと、レントゲンに比べコストや時間がかかること、市民検診のようにより多くの人に受けていただくためには診療所レベルではCTを設備していない場合も多いこと、CTの方が放射線の被曝量が多いこと、などが挙げられます。また、がん検診の最も重要な課題である「死亡率の減少」という意味では、現行のレントゲンと喀痰検査の併用で十分な効果が得られているという報告もあります。一方で「早期発見」という意味でいうと、レントゲンはCTに劣るという点で否めないため、検診にCTを用いようという試みもされていることは事実です。
 上記もご理解の上、ご自身の不安が大きいと言うことであれば、胸部CTを人間ドックなどで受けられてはいかがでしょうか。


(2024年6月25日 近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)

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2024年05月24日

Q「気胸体型だとよく言われます・・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 20代男性です。気胸体型だとよく言われます。気胸になるとどのような症状が出るのでしょうか。

A) 「気胸」という病気は、肺がなんらかの原因でパンクしてしまい空気がもれ、結果として肺がおさまっている「胸腔」の中に空気がたまる病気です。肺気腫や肺癌などの病気に伴って起きるような、原因の明らかな気胸を「続発性気胸」と言い、明らかな原因がなく起こる気胸を「自然気胸」と言います。自然気胸は「20歳前後の痩せ型の長身の男性」におきやすいと言われています。
 「気胸」の症状で頻度の高いものは「胸の痛み」です。通常「肺」そのものには痛みを感じる神経がないので痛くはありませんが、気胸になると肺を包んでいる「胸膜」が傷害されるため、痛みが起きます。特に呼吸で胸膜が刺激され、痛みが増強します。また痛み以外には、胸腔内に空気がたまって肺が十分に膨らむことができなくなり、結果として呼吸がうまくできなくなくて「息苦しさ」を感じるようにもなります。また胸腔内の空気が過剰にたまって肺や心臓・血管などを圧迫することを「緊張性気胸」といいますが、この場合は呼吸困難やショックに陥る場合もあり、命に関わる状況ともなりうることから注意が必要です。疑わしい症状があれば早めの受診をお勧めいたします。


(2024年5月23日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2024年04月24日

Q「なかなか自分だけでは禁煙できないので・・・」

教えてドクター2.jpgQ) なかなか自分だけでは禁煙できないので禁煙治療をしようと思いクリニックへ行くと、薬品不足で治療中止していると言われてしまいました。ほかに治療できる方法はないでしょうか。

A) 現在「禁煙外来」で使用する禁煙補助薬である「バレニクリン酒石酸塩(以下バレニクリン)」が長期欠品しており、そのため「禁煙治療」を中止している医療機関も少なくありません。しかしながらバレニクリン以外の禁煙補助薬として「ニコチン貼付薬(以下ニコチンパッチ)」があり、ニコチンパッチを用いて「禁煙外来」を実施している医療機関もありますので、問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。
 バレニクリンと異なりニコチンパッチは薬剤の成分としてニコチンを含んでおり、禁煙外来通院期間もバレニクリンが12週間であるのに対し、ニコチンパッチは8週間(保険上は10週間まで投与可能)と短いですが、厚生労働省の禁煙外来治療実態調査によれば禁煙外来5回通院者の4週間禁煙率はバレニクリン 79.1%、ニコチンパッチ 76.9%と大きな差はありませんでした。また現在市販の禁煙補助薬「ニコチンガム」もありますので、病院を受診せずに市販薬を用いてご自身で禁煙に取り組むのも一つの方法です。ただしニコチンパッチやニコチンガムは成分としてニコチンを含むため、うまく禁煙できず漫然と使用すると健康上よくありませんので注意が必要です。
 何より大事なのは「禁煙しよう」というご自身の意思だと思いますので、検討いただいて前向きに取り組まれることをお勧めします。


(2024年4月24日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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