2024年02月26日

Q「毎年花粉症に悩まされています。舌下免疫療法が・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 毎年花粉症に悩まされています。「舌下免疫療法」が気になっているのですが、花粉が飛散している時期は治療できないと言われました。なぜですか?

A) 「舌下免疫療法」はアレルギー症状を引き起こす物質「アレルゲン」を舌の下に少量ずつ薬として投与し、身体を徐々に慣れさせる治療法です。治療効果としてはアレルギー反応が起こらない、起きても軽い症状で済むようになります。花粉症の舌下免疫療法は「スギ花粉」を成分として使用するため、スギ花粉が飛散している時期に開始しても効果が得られません。通常は花粉が飛散していない5月から12月初めまでの間に治療を開始します。
 ただ治療開始後はスギ花粉の飛散時期も含め、年間を通じて薬を服用する必要があります。また少なくとも3〜5年ほど治療を継続する必要があり、途中でやめてしまうと、また初めから開始することになります。
 副作用がでる場合もあります。唇や口の中が腫れたりすることがあり、また稀ですが「アナフィラキシーショック」という重篤な副作用が起きうることも知られています。またもともと喘息がある場合、喘息の悪化が誘発される可能性がある事も知られています。
 副作用の可能性や治療の継続性も含めて、治療を受けるかどうか検討することをお勧めいたします。


(2024年2月26日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2023年12月24日

Q「今年はインフルエンザが流行っているそうで・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 今年はインフルエンザが流行っているそうで、例年ならワクチン接種はしないのですが今年はしたほうがいいか迷っています。今からでも接種は間に合いますか?

A) 「したほうがいいか、しなくてもいいか」の二択でいうのであれば、間違いなく「したほうがいい」と思います。確かに今年は「インフルエンザ流行入り」が9月とかなり早く、「インフルエンザ警報」が発令されたのも11月はじめで、12月となった現在も日本全国的に警報レベルの感染者数が報告されています。新型コロナウイルスが流行していた直近3年間はインフルエンザの流行はほぼみられませんでしたが、4年前までは「流行入り」が11月末から12月、「警報レベル」に到達するのがお正月くらいでしたので、今年に関しては異例のスピードで感染拡大が起きていると言って良いでしょう。ここまで早いスピードで感染が広がっている一因としては、コロナが5類になりマスクをしない方が増えたことが挙げられるかもしれません。
 インフルエンザワクチンの意義は「自身が感染した際の症状を抑える」「他者への感染、伝播を防ぐ」という二点が挙げられます。また通常ワクチンの効果発現がみられるのに2週間ほど、効果が持続するのが5ヶ月ほどといわれています。今からでも十分意味がありますので、ぜひ接種をしてください。


(2023年12月22日 近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)

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2023年12月21日

Q「COPDだと冬の感染症対策を念入りに行う必要があると・・」

教えてドクター2.jpgQ) COPDだと冬の感染症対策を念入りに行う必要があると聞きましたが、なぜでしょうか。

A) COPD(慢性閉塞性肺疾患)は主に喫煙によって引き起こされる気道の炎症性疾患です。慢性的な「咳」や「痰」、「息切れ」を主な症状としますが、かなり病状が進行するまでほとんど症状が出ない場合もあります。また通常は加齢とともに病状は進行していきますが、風邪などの感染症をきっかけに、病状はさらに一段階悪化した状況となることも知られています。
 一方、冬場の感染症の代表的なものに「インフルエンザ」や「肺炎」がありますが、基礎疾患がある方は重症化することが知られており、その「基礎疾患」の代表的な疾患がCOPDです。また「新型コロナウイルス」についても「喫煙者」や「COPD」の方の重症化リスクが高いことはみなさんご存知かと思います。
 このようにCOPDは感染症の合併に伴って「COPDの病状が一段階悪化する」ということと、COPDが「感染症の重症化リスクになる」という二つの側面があるのです。感染対策としては、インフルエンザや肺炎球菌、新型コロナウイルスなど予防接種があるものは積極的にうけ、また外出時のうがい・手洗いを欠かさないよう、また睡眠を十分にとるなど体調管理に注意することも重要です。


(2023年12月21日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)

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2023年11月25日

Q「「風邪をこじらせて肺炎になる」とよく聞きますが・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 「風邪をこじらせて肺炎になる」とよく聞きますが、どういう事でしょうか?

A) 「肺炎」は「細菌」や「ウイルス」などの病原体が、鼻や喉を通過して気管支のさらに奥の肺まで侵入して繁殖し、肺で炎症を引き起こすことによる疾患です。しかしもともと人間の喉や鼻の粘膜には病原体をブロックする働きがあるため、そんなに簡単に病原体が肺の奥まで侵入することはできません。
 一方で「風邪」というのは主に「ウイルス」の感染によって引き起こされるもので、ウイルスは鼻から喉の粘膜を中心に感染・繁殖して炎症を起こすため、喉の痛みや鼻汁・鼻閉といった症状がみられます。また鼻や喉の症状のみではなく、喉が痛いこともあって食欲も低下し、発熱に伴って体力も消耗します。
 「風邪をこじらせて肺炎に」というのは、「風邪」によって鼻や喉の炎症が起きているために、本来ブロックされるはずの病原体が容易に通過して肺にまで到達してしまい、かつ体力が低下しているため免疫力も低下して肺で繁殖しやすい状況となり、「肺炎」が起きやすくなる事を指します。もちろん「風邪」をひくと必ず「肺炎」になるわけではありません。「風邪」の段階で治まるように早めに体力の回復に努める事が重要なのです。


(2023年11月25日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2023年09月30日

Q「高齢者が肺炎で亡くなるニュースを時々みますが・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 高齢者が肺炎で亡くなるニュースを時々見ますが、肺炎はそんなに重病なのでしょうか。高齢の親がいるのですが、風邪なのか肺炎なのか、見分けがつくのでしょうか。

A) 肺炎だからといって必ずしも命に関わるような重篤な病状になるわけではありません。肺炎の原因は、細菌やウイルスなどの病原微生物の感染によって起きる肺の炎症です。重病になるかどうかは、原因である病原微生物の種類や、肺炎を罹患した方の健康状態に依存します。例えば細菌の「レジオネラ菌」や、2019年から流行した新型コロナウイルス「Covid-19」は重症の肺炎を起こすことが知られています。患者側の重症化する要因としては、一番に「免疫力」の低下が挙げられます。「白血病」や「エイズ」などの血液疾患や「糖尿病」は免疫力の低下をきたす代表的な疾患です。「慢性閉塞性肺疾患」や「間質性肺炎」などの呼吸器疾患の存在も肺炎を重病化させる要因になると言って良いでしょう。高齢者も重病化する可能性は高くなるわけですが、それは加齢に伴って内臓機能が低下していることや、複数の疾患を有している確率が高くなること等が理由として挙げられます。風邪か肺炎なのか症状のみで見分けるのは困難な場合もありますが、一般に肺炎は風邪に比べると症状がひどくなります。見分けるのも大事ではありますが、予防接種を受けたり「うがい」「手洗い」などの感染対策につとめ、体調管理をすることも重要ですね。


(2023年9月30日 近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)

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2023年09月22日

Q「咳だけの症状が3週間ほど続いて・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 咳だけの症状が3週間ほど続いており、ほかの不調はありません。ただの風邪なのか、診てもらうべきか、どう判断すればいいでしょうか。

A) 通常「風邪」による症状で咳が3週間続くことは稀です。咳の原因となる疾患で最も多いのが風邪をはじめとする感染症ですが、「マイコプラズマ」や「百日咳」のような一部の感染症を除いて3週間以上咳が持続することはまずありません。また通常感染症の場合は咳以外の感染症に特徴的な全身症状、例えば発熱や倦怠感などを伴うことも多く、咳以外の気道症状、例えば咽頭痛や痰などもみられる場合も少なくありません。咳のみが3週間以上続いているのであれば、感染症以外の疾患をまずは疑うべきだと考えます。
 アレルギー疾患である「気管支喘息」や「咳喘息」は、症状に季節性がある、日中より夜間に多いなどの特徴がありますが、症状自体は「咳のみ」であることは少なくありません。また「逆流性食道炎」は胸焼けやゲップなどの症状を伴う場合もありますが、咳のみの症状で受診されて診断されることもあります。また高血圧の治療薬の一部に、副作用として咳の症状が出る場合があります。これら以外にも咳の症状のみがみられる疾患はいくつかあり、咳だけの症状と言っても放置しないほうが良いと考えますので、病院を受診することをお勧めいたします。


(2023年9月22日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2023年08月25日

Q「階段をのぼると息切れするのが気になって・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 階段をのぼると息切れするのが気になっています。病院に行った方がいいでしょうか?どんな病気が考えられますか?

A) まず「息切れ」がなぜ起きるのかを理解いただく必要があると思います。「息切れ」の起きる原因は酸素不足です。酸素は呼吸によって空気中から体内にとり込まれ、肺の肺胞で血液中に溶け込みます。血液中の酸素は赤血球のヘモグロビンによって全身に運ばれるわけですが、血液を全身に送るポンプの役割は心臓が担っています。この肺、ヘモグロビン、心臓、の3つのうちのどれかに問題が起きると酸素不足になり、息切れが起きる可能性があります。したがって慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎などの慢性進行性の呼吸器疾患の存在は息切れの原因になり得ます。また心臓弁膜症や心筋梗塞などの心疾患も慢性心不全を起こし、息切れの原因となり得ます。またヘモグロビンの減少はいわゆる貧血を指しますが、胃や大腸などに何らかの病気ができて起きる消化管出血は貧血の原因になりますし、白血病などの血液疾患も貧血を伴う場合があり、また女性の場合は子宮内膜症や子宮筋腫など婦人科系疾患の存在が、貧血につながる可能性があります。このように息切れの原因となり得る疾患は多種多様であり、息切れの症状のみでは原因となっている疾患を推定するのは困難です。息切れの程度にもよりますが、早めに病院を受診して精密検査を受けることをお勧めいたします。


(2023年8月25日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2023年07月14日

Q「夏型過敏性肺炎とは何ですか?」

教えてドクター2.jpgQ) 夏型過敏性肺炎とは何ですか?

A) 通常「肺炎」というと「細菌」や「ウイルス」などの病原体の感染によっておきる感染症をさしますが、「過敏性肺炎」は感染症ではなく「アレルギー」によって引き起こされる肺炎です。主な症状としては「咳」「発熱」「息切れ」などであり、症状のみでは感染症である肺炎と区別するのは困難です。有機物の粉塵や化学物質などの「抗原」を繰り返し吸い込んだことによるアレルギー反応が原因となりますが、通常は抗原を避けることで症状の改善が得られます。抗原の中で頻度の高いものに「カビ」が挙げられ、中でも「夏型過敏性肺炎」は「トリコスポロン」というカビに対してのアレルギー反応によるものです。
 トリコスポロンは住居内で繁殖するカビの一つで、高温多湿の環境を好み、エアコンの内部や浴室・布団などでよく繁殖することから、エアコンを使用する夏場に特に住居内を飛散して吸い込むことが多くなります。感染症である「肺炎」と診断され入院し、抗菌剤を投与されて改善し退院したものの、自宅に戻って症状が再燃してようやく「過敏性肺炎」と診断される場合もあります。この場合「抗菌剤」の投与で改善したのではなく、入院したことでカビのいる家庭から離れたことで一旦治ったと考えられます。予防のためには生活環境におけるカビの繁殖を防ぎ、エアコンのクリーニングや定期的な屋内の清掃や換気を行うことが有用と考えられています。ただし重症化や慢性化する場合もありますので、疑わしい症状がある場合は医師に相談することをお勧めいたします。


(2023年7月14日 近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)



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2023年06月16日

Q「最近、食事中にむせてしまうことが多くなりました・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 60代男性です。最近、食事中にむせてしまうことが多くなりました。病院に行った方がいいでしょうか?

A) 通常、人は口か鼻で呼吸していますが、ものを食べる時も口から食べています。息も食べ物も入口は同じ「口」なわけですが、喉の奥の部分で息の通り道である「気管」と食べ物の通り道である「食道」に別れており、特に意識しなくても食べ物は「気管」に入らずに「食道」に入るような構造になっています。「むせる」というのはこの構造が何らかの理由で破綻したために起きる現象で、本来何も固形物が入らない「気管」に食べ物が入ってしまうため咳き込んでしまうのです。また飲食物が「気管」に入る現象を医学用語では「誤嚥」と言います。誤嚥をきっかけに肺炎になること(誤嚥性肺炎)もありますので注意が必要です。
 「むせる」原因はさまざまで、脳梗塞などの脳血管障害に伴って嚥下機能が低下して起きる場合もあれば、「気管」と「食道」の分かれ道の部分にある「喉頭」にできた腫瘍などが原因で起きたり、声を出す役割の「声帯」を動かす「反回神経」が何らかの原因で麻痺することが原因となる等が挙げられます。また反回神経麻痺の原因も肺癌・大動脈瘤・神経疾患などさまざまです。このように「むせる」場合はさまざまな病気の可能性が考えられますので、病院に行かれたほうがいいですね。


(2023年6月16日 市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)



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2023年05月16日

Q「息切れで受診したところCOPDと診断され、喘息も合併していると・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 息切れで受診したところCOPDと診断され、喘息も合併していると言われました。喘息を合併していると普通のCOPDとはどう違うのでしょうか?

A) COPD(慢性閉塞性肺疾患)はタバコの煙を主とする有害物質を吸入暴露することで生じる肺の炎症性疾患です。喫煙によって気道(気管支)の炎症が慢性的に惹起され、肺構造の最小単位である肺胞の破壊が起きることによる気腫性変化も生じる疾患で、症状としては慢性的な「咳」や「痰」、運動時の「息切れ」などを特徴とします。一方で喘息は気道の慢性炎症によって「咳」や「ヒューヒュー」「ぜいぜい」といった喘鳴を生じうる、アレルギー性の呼吸器疾患です。一般的にCOPDの方のおよそ3割は喘息を合併するといわれ、もともと小児喘息の治療をしたことがあって大人になってから喫煙をされている方や、喫煙者で花粉症やアトピー性皮膚炎などアレルギーの素因がある方は、「喘息合併COPD(ACO)」の可能性があります。症状のみで喘息合併かどうか判別するのは困難ですが、喘息合併の場合は季節による症状の変動がみられる場合もあります。治療薬としては抗コリン薬やβ2刺激薬などの気管支拡張剤の吸入が挙げられますが、喘息を合併している場合には吸入ステロイド薬の併用が推奨されています。またCOPDは年齢とともに徐々に呼吸機能が低下していくことが知られていますが、喘息合併の場合は吸入ステロイド薬を含む適切な治療を行うことで、通常のCOPDよりも呼吸器機能が改善する可能性があるといわれています。今後しっかりと通院治療されることをお勧めいたします。


(2023年5月16日 近郊通し版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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