2021年05月28日

Q「70歳の父親が間質性肺炎の中の「特発性肺線維症」と言われました・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 70歳の父親が間質性肺炎の中の「特発性肺線維症(IPF)」と言われました。どのような病気でしょうか。

A) まず「間質性肺炎」ですが、これは肺の「間質」と言う部位に炎症をきたす肺炎の総称で、細菌やウイルスによる感染症である「肺炎」とは全く異なるものであり、関節リウマチや皮膚筋炎などの膠原病に伴うものや、薬剤の副作用として起きるもの、原因の特定できないもの等が挙げられます。原因の特定できない間質性肺炎は「特発性間質性肺炎」と呼ばれ、初期には無症状であることが多いですが病状の進行に伴い「息切れ」や「咳」等の症状を自覚するようになり、確立された治療法がない事から国の定める「指定難病」の一つとなっています。
現在「特発性間質性肺炎」は主要な6つの病型、稀な2つの病型および分類不能型に分類されていますが、頻度としては「特発性肺線維症(IPF)」が最も多く80〜90%を占めています。現在「IPF」を完治させる治療法はなく、ある程度進行した段階では「抗線維化薬」により病状の進行を緩やかにできる場合がありますが、効果には個人差があります。病状の進行に伴って呼吸不全が進行し、自宅で酸素吸入を行う「在宅酸素療法」が必要となる場合もあります。また時に急激に呼吸困難が出現する「急性増悪」がみられることもあります。診断されてからの平均生存期間は5年程度と言われていますが、人によって経過は様々であり一概には言えません。担当の医師にお父様の病状を詳細に確認することをお勧めいたします。


(2021年5月28日 中日新聞なごや東版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2021年04月07日

Q「現在高血圧で通院していますが、「人間ドック」や「がん検診」は・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 現在高血圧で通院しています。診察の時に血液検査も時々していますが、「人間ドック」や「がん検診」は別で受けた方がいいのでしょうか?診察を受けていれば大丈夫でしょうか?

A) 確かに高血圧で通院していると定期的に血液検査を受けるとは思います。それは血圧が高いことにともなって腎臓や心臓の働きに問題がないかを調べたり、血圧が高くなる要因の一つである動脈硬化と関連してコレステロール値や尿酸値が上昇していないか、血糖値はどうか、肝機能に問題はないかなどを調べるのが目的です。要するに「高血圧に関連する何らかの問題が起きていないか」を調べるために検査をしているのです。一方「人間ドック」では血液検査以外にも胃カメラやCTや超音波など様々な検査をおこなう場合もあると思いますが、「全身に異常がないかを調べる」のが目的です。ただしもちろん「広く浅く」調べていると言っても良いので全ての異常が検出できるわけではなく、異常があった場合は「要精密検査」となり医療機関の受診を勧められます。また「がん検診」は脳腫瘍、胃がん、肺がん、大腸がんなど、「がん」に特化した検診ですので「人間ドック」とも位置づけが異なります。おこなう血液検査も「腫瘍マーカー」などの「がん」の発見を目的にした項目となるので、「人間ドック」のようにがん以外の病気の有無がわかるわけではありません。結論ですが、通院して定期的に血液検査をしていれば「人間ドック」や「がん検診」を受けなくても大丈夫と言うわけではないのです。


(2021年4月7日 中日新聞市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2021年03月16日

Q「50歳男性です。突然気管支喘息と診断されました・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 50歳男性です。突然気管支喘息と診断されました。小さい頃喘息もなく、アレルギーもありません。大人になってから気管支喘息が突然発症するものなのでしょうか。

A) 気管支喘息は幼児から高齢者まで幅広い年代の方にみられる疾患ですが、「こどもの病気」と思っている方が意外に多く「大人で喘息の人はこどもの頃から喘息」と考えてみえる方も多いです。一般的に「こどもの喘息(小児喘息)」は60%程度の方が適切な治療をすることにより治癒・寛解すると言われており、実は治る事が多い疾患なのです。小児喘息で治った人のうちおよそ30%程度の方は大人になってから再発すると言われてはいますが、「大人の喘息(成人喘息)」の方で小児喘息だった方はおよそ20〜30%程度であり、こどもの頃に喘息でなかった人の方が大半を占めると言っていいでしょう。しかも統計的には成人喘息のうち60%以上は40歳以降の発症ですので、50歳で突然気管支喘息と診断されてもなんら珍しいことではありません。
一方小児喘息と異なり成人喘息は現在の医療では完治は難しいと考えられています。しかしながらきちんと治療すれば80%以上の方は無症状の状態でコントロールできると言われていますので、ながく付き合うつもりで主治医の先生とよく相談しながら治療を続けていくことをお勧めいたします。


(2021年3月16日 中日新聞市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)

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2021年01月28日

Q「喘息治療中ですが、夜寝ている時に発作が起こることが多く・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 喘息治療中です。治療開始前に比べ症状は改善していますが夜寝ている時に発作が起こることが多く、不安で寝られません。寝ている時に起こるのは何か原因があるのでしょうか。

A) 「夜間の症状」は喘息によくみられる症状の一つで、特に珍しい事象ではありません。日中に比べて夜間に多い理由としては、「夜寝て朝起きる」という人のサーカディアンリズムによって夜間に副交感神経系が優位となることに伴い気道平滑筋の収縮が起きやすくなることや、「寝る」という姿勢により床や布団に蓄積したハウスダスト等のアレルゲンを吸引しやすい状況となることや、夜間・早朝の気温低下や室内空間の乾燥等による気道過敏性の亢進などがあげられます。ただ全ての人に当てはまるわけではなく夜間よりも日中の症状が多い場合もあります。
何れにしても「夜間の症状が残る」というのは、現在の治療効果が不十分であることを示唆しています。現在の治療内容がわかりませんので具体的な対処法を示すのは難しいですが、現在の治療を強化するというのも一つですし、寝室の環境整備(清掃等によるハウスダストなどのアレルゲン回避や、室温や湿度等の空調管理など)も一つかとも思われます。一度通院中の病院で担当の医師とよく相談されることをお勧めいたします。


(2021年1月28日 中日新聞なごや東版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2020年12月08日

Q「60歳を過ぎてから風邪をひくと息切れを感じるように・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 60代女性です。60歳を過ぎてから風邪をひくと階段や坂道で息切れを感じるようになりました。普段は何ともないので今まで特に病院で相談したことはありませんでしたが、年々ひどくなってきているようにも思います。どうしたらいいでしょうか。

A) 息切れの症状をきたす疾患は様々ですが、一つには心肺機能が低下するような何らかの疾患がある可能性が考えられます。そのような疾患があると、風邪をひいた際に負荷がかかり症状が顕在化するのです。
まずは心臓の働きが低下するような心疾患の可能性があげられますので、心臓弁膜症や心房細動などから慢性心不全となっていないか、循環器科にて精密検査を受けることをお勧めします。もともと高血圧などの心臓に負担がかかるような疾患がある場合には、より疑われます。次に肺の機能が低下するような疾患も考えられますので、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺線維症などから慢性呼吸不全となっていないか、呼吸器内科で精密検査を受けるのもお勧めです。喫煙されていたのであれば、呼吸器疾患の可能性はより高くなります。もちろん心機能・呼吸機能、両方に問題が起きている可能性も否定できませんし、心肺機能の低下をきたす疾患以外にも、貧血を伴うような血液疾患でも同様な症状をきたす場合もあります。何れにせよ普段は何ともなかったとしても、病院で精密検査を受けることをお勧めいたします。


(2020年12月8日 中日新聞市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2020年11月13日

Q「4歳になる息子が2歳ぐらいまでひどいいびきを・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 4歳になる息子がいるのですが、2歳ぐらいまでひどいいびきをかいていました。今は以前ほどではないのですが、子供のいびきは良くないと聞きました。何が良くないのか詳しく知りたいです。

A) 「いびき」は「睡眠時無呼吸症候群」の主症状です。大人のいびきが「肥満」「メタボリックシンドローム」などの生活習慣病が主因であるのに対し、小児の場合は口腔や鼻腔などの形態学的な問題が主因であるのが特徴です。具体的には「アデノイド増殖症」や「口蓋扁桃肥大」が該当しますが、一般にアデノイドは3〜6歳、口蓋扁桃は5〜7歳で最大となり学童期の後半には次第に退縮がみられますので、小児のいびきがみられるのは2〜6歳が多いと言われています。この時期は成長・発達に重要な時期でもあり、無呼吸が「成長障害」「低身長」につながる可能性があります。
今は以前ほどではないとの事ですが、もしいびきに伴ってお子さんの胸が陥没しているような状況(陥没呼吸)であれば要注意です。他にも起床時不機嫌、日中の長時間の昼寝、落ち着きのなさ、多動、攻撃的な行動、集中力の欠如などが無呼吸に伴ってみられうる症状とされています。もしお子さんがこれらに該当するようであれば、一度無呼吸専門外来か耳鼻咽喉科を受診する事をお勧めいたします。


(2020年11月13日 中日新聞市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)

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2020年10月27日

Q「そろそろインフルエンザが出だす季節になってきますが・・・」

教えてドクター2.jpgQ) そろそろインフルエンザが出だす季節になってきますが、今年は新型コロナが流行していることもあって、とても心配です。インフルエンザの予防接種も「高齢者は早くうけた方がいい」と聞きますが、早くうけた方がよく効くのでしょうか?

A) 確かに寒くなってくるにつれて新型コロナとインフルエンザが同時流行する可能性が懸念されており、厚生労働省も今年はインフルエンザの予防接種をより推奨し、ワクチンも過去5年間で最大量の約6300万人分が確保されているとのこと。現状新型コロナは確立された治療法がなく、確定診断も全ての医療機関でできるわけではありません。一方「コロナ」も「インフルエンザ」も主な症状は「発熱」であるため、症状だけでは見分けがつかないという問題もあります。また「インフルエンザ」は「迅速診断キット」がありますが、十分な感染対策をとらずに検査が行われ、万が一検査をうけた人が「コロナ」であった場合、かえって感染拡大の一因となってしまうと言われています。このような状況の中「インフルエンザワクチン」による予防が重要視され、コロナ感染拡大防止にもつながると考えられているのです。ただ「早く接種すればよく効く」という訳ではありません。あくまで「希望者が殺到した場合は、高齢者などリスクの高い方を優先して接種を」とご理解ください。


(2020年10月27日 中日新聞なごや東版「教えて!ドクター Q&A」掲載)

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2020年08月07日

Q「からせきが3週間以上続きます・・・」

教えてドクター2.jpgQ) からせき(痰のないせき)が3週間以上続きます。特に寝入りばなに咳き込むことが多く、なかなか寝付けないこともあります。ただの風邪でしょうか。

A) 「せき」の原因で最も頻度が高いのは風邪をはじめとする「感染症」によるものですが、通常単なる「風邪」で3週間以上咳が続くことはありません。風邪から二次感染を起こして肺炎になってしまった場合に咳が長引くことはありますが、咳以外の発熱・痰といった症状も伴うことが多いように思われます。感染症であれば「マイコプラズマ」や「百日咳」といった「長引く咳」を特徴とする特殊なものを疑うべきです。また最近は同様の症状で「こんなに咳が続くのはコロナじゃないか」と受診される方も多いですが、コロナウイルス感染症で3週間以上症状が続いていれば、咳以外の重篤な症状が出ている可能性が高いと考えます。
 「咳」以外の「痰」「発熱」といった感染症に特徴的な症状がない場合は、感染症以外の疾患も疑うべきです。このような症状を呈する比較的可能性の高いものに「気管支喘息」や「咳喘息」といったアレルギー疾患が考えられます。もともと花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患のある方であれば一層疑う根拠となります。またこのような疾患は夜間に症状が悪化するのも特徴ですので、今回の場合は可能性としては高いように思われます。もし喘息であった場合、いったんおさまっても何度も繰り返して重症化する可能性もあるため早めに専門医を受診することをお勧めいたします。


(2020年8月7日 中日新聞市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)

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2020年07月29日

Q「30年以上喫煙していた父が検査で肺気腫を指摘され・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 30年以上喫煙していた父が検査で肺気腫を指摘され、現在禁煙しています。もう60代なので、いくら禁煙しているとはいえ病気が進行したり、他の病気になったりしないか心配です。他に気をつけるべきことはありますか。

A) 「肺気腫」は長年の喫煙によって炎症とともに肺の構造が破壊される事で生じる病変で、現在病名としては「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」と呼ばれています。残念な事に禁煙しても治ることはありません。また経年的に悪化していきますので、禁煙しても徐々に病気としては進行していきます。COPDの病状把握として重要なのは、構造的変化としての肺気腫の程度のみではなく、機能的にどの程度悪化しているかどうかという点もありますので、通常は「肺機能検査」によって評価を行います。主な治療は気管支拡張剤の吸入ですが、どういった薬剤を選択するかは構造的悪化よりも機能的悪化の方が基準となります。また昨今は気管支喘息を合併した「ACO」かどうかが、病状の進行予測や治療薬の選択の上で重要と考えられていますので、その点についても判断が必要です。
 他の病気になったら心配とのことですが、健常者に比べ「肺癌」の合併率は高いと考えられており、定期的な経過観察が必要です。また肺炎やインフルエンザ、コロナウイルス罹患時の重症化因子の一つですので、予防接種を含む感染予防を心がけることも重要と言えるでしょう。


(2020年7月29日 中日新聞市民版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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2020年07月18日

Q「以前よりアレルギーのある子供が増えたのは・・・」

教えてドクター2.jpgQ) 以前よりアレルギーのある子供が増えたのは、昔より生活環境が衛生的になったからと言う意見を聞きますが、本当でしょうか。アレルギーを発症しないようにするためには、あまり衛生的な環境にしない方が良いと言うことですか。

A) アレルギーの発症には「遺伝的要因」と「後天的要因」が関与していると言われています。前者は「遺伝子」が関与するとされるもので、後者は産まれた後の環境や何らかの外的因子の影響(感染症や抗原暴露など)によるというものです。後者の一つに「衛生仮説」がありますが、これは「清潔すぎる環境がアレルギーの発症につながる」というもので、乳幼児期に微生物の感染等の刺激が少なくなる事によって、免疫の発達が不十分となりアレルギー疾患の発症に関与すると考えられています。
 しかしながら「不潔な環境が良い」と言っているわけでは決してなく、「感染症にかかった方が良い」と言うわけでもありません。どうするのがベストかと言うのはなかなか難しいですが、過度に衛生的にする事なく「自然に近い形」が良いと言うくらいでしょうか。また抗菌剤の投与が腸内の細菌に影響を与えアレルギーの発症に関与するという報告もありますので、必要以上に抗菌剤を服用しないほうがいいとは言えると思います。


(2020年7月18日 中日新聞なごや東版「教えて!ドクター Q&A」掲載)


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